臨床検査 9巻8号 (1965年8月)

カラーグラフ

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 尿沈渣の観察は検体がほとんど透明なために光量の調節でよくみえたりみえなかったりする。またこれが初心者には最も難かしい点ではなかろうかと思われる。ここに掲げたカラースライドは,シェーマに示すように暗視野の原理を応用して,沈渣の有形成分のみは背景の色調と異なった色とし,観察しやすくしたものである。5枚は紫と黄色の組み合せフィルター,1枚は緑と赤色の二色フィルターを使用して得られた写真である。細胞,円柱,結晶はもとより,細菌の活溌に動くところも非常によく観察され,光量を強くして細胞の内部構造をみることもできる利点がある。

(フィルターはオリンパス光学KKより提供されたことを付記する)

グラフ

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超微量定量用比色計の作製

連続測定用超微量用キュベットと比色後の比色液回収装置の考案

 最近の臨床検査のうち特に血液生化学的検査は次第に超微量法にとって変りつつある。しかしこのような超微量定量を行なうためには特に鋭敏な化学反応を応用するか又は非常に細密な操作をしなければならないためか,なかなか普及されないのが現実である。私達は最近市販の光電比色計のキュベットに多少の改良を加えることで,容易に微量定最ができ,しかも従来のものより能率的で精度もよく比色液が半自動的に元の試験管内に回収できる装置を考案し,臨床生化学検査を超微量化することができた。また本装置は作製後20ケ月以上の現在も尚その使用に耐えている。

技術解説

FTAテスト 河合 忠 , 河原塚 金造
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はじめに

 1942年にPangborn女史1)が,現在広く用いられているカルジオライピンを純粋に分離して以来,梅毒の血清学的診断法の特異性が著しく増加したが,一方では生物学的偽陽性(Biological False Positivity,BFP)の鑑別が重要な問題として注目をあびてきた。すなわち,実際に梅毒に罹患していない患者,たとえばマラリヤ,ライ,再帰熱などでも高率に陽性を示す。さらに,わずかではあるが妊娠,膠原病,種々のウイルス感染症などでも偽陽性となり,稀には健康人でも偽陽性を示すことがある2)。このようなBFPをぜんぜん臨床症状をもたない潜伏梅毒患者から区別することは非常に困難になつてきた。梅毒という病気の性質上,その検査方法に対しては100%の信頼性が要求されるわけである。この要求に一歩でも近づこうとして多くの学者が研究を進めてきたが,その第一陣として発表されたのがTPI(Treponema pallidum immobilization)テストである3)。このテストは梅毒感染初期には陽性率が低いが,特異性が非常に高く現在でも梅毒患者とBFPを示す患者との最終的鑑別方法として使われている。しかし,生きたトレポネーマを使用することと手技に高度な熟練を必要とすることのため特殊な2,3の検査室以外では実施することができない。

胃液の検査法 佐藤 八郎 , 東 達郎
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はじめに

 Spallanzaniが1785年獣肉が胃液により体外で分解されることをはじめて明らかにし,William Proutは1823年胃液中の酸は塩酸であることを証明し,1836年Schwannが胃液中の特殊な消化物質をPepsinと命名してより,胃液は胃疾患の診療に注目されるようになった。1883年Leubeは胃管を用いて胃液を採取し,その性状によって胃の機能を診断しようとして胃液検査法を創始した。

 胃液検査はX線診断法,内視鏡的診断法(直達鏡,ガストロカメラ,ファイバースコープ)細胞診,胃生検法の進歩により,そのはたす役割は不当に軽視される傾向にあるが,糞便検査とともに胃腸疾患の診療に際しては,補助的診断ならびに経過観察に一応の役割をはたすものと考えている。

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はじめに

 腎機能不全進行とともに血中尿素濃度が上昇し,これと反対に,尿中排泄が低下する事実を根拠に,古くから腎機能を血液尿素濃度,尿中尿素濃度,さらに尿量を加味することによつて表現せんとする試みがなされてきた(表1)。

 かくしてVan Slyke一派の提唱するクリアランス(Clearance)という概念が導き出され1),これが尿素以外の物質たとえばイヌリン,チオ硫酸ソーダ,ダイオドラスト,パラアミノ馬尿酸ソーダなどに応用されて,腎生理,腎病態生理,腎疾患の臨床に大いに貢献した事情については前回くわしく述べた。

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忙しい検査室の毎日—けれど,ちょっとした工夫によって仕事を少しでもスピーディーに,能率的にしている方がいます。また,こんな道具をつかうとこんなに便利です,ということもあわせて,—いわば,座談会形式「私の工夫」

講座 検査技術者のための臨床病理学講座15

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 血清検査とは抗原抗体反応(Antigen-Antibodyreaction)を利用した診断法で,非常に特異性の高いことから感染症はもとより,最近では血液疾患,膠原病その他の病気にもしばしば応用される。

 感染症に罹患した患者がその疾患に対する抵抗力を獲得するであろうという考え方は,病原体の発見以前に既に観察されていたが,血清中にそれを確かめたのは19世紀末Durhanが免疫血清中の細菌凝集素を発見しagglutininと命名したのが最初である。以来Widal,Castellaniによるサルモネラ属の凝集反応をはじめとし次々と多種類の血清反応が見出され今日に至っている。したがって血清反応は感染症と密接な関係があり,診断上病原体分離と同様に重要な検査項目となっている。またある場合には血清検査のほうが重要な意義をもつこともある。本文では感染症における血清検査を総括的に述べ,主な感染症の病像をかんたんに説明することにする。

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 このニュースが本誌臨床検査を通じて読者諸氏の手に渡るのは多分本年の人事院勧告が出た後になるのではないかと考えられる。

 今回は現業関係病院のうち,とくに逓信病院に働らく衛生検査技師の待遇関係を御紹介して参考に供したいと思う。

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学会に対する心の準備

 日本衛生検査学会を岡山に迎えるにあたり,私たちがその心の準備にとりかかったのは一昨年の春であった。

 今ここにこの誌上をかりて,岡山県衛生検査技師会の数年の歩みを紹介することにより,学会に対する私達の心の準備の過程をのべることになると思う。

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問題・臨床病理学

 つぎの第1問から第9問までの文の□の中に入れるのにもっとも適当な語句を,その□の中のAからIまでの符号と対応する語句群の中からそれぞれ一つだけ選びなさい。

 第1問尿比重はAのとき低下する。

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はじめに

 最近,ブドウ球菌などと並んで緑膿菌(Pseudomonas aeruginosaが臨床材料から分離されることが多くなった。この菌は常用抗生物質に感受性が少く,ために菌交代症や院内感染の原因となることがあるので次第に注目されるようになってきた。

 私達は昭和39年9,10月中に北大病院中検材料より分離した本菌の生物学的性状と感受性について検索したので以下報告する。

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はじめに

 血清蛋白の分析法は1937年Tiselius1)がTiseliusの電気泳動装置を発表して以来飛躍的な進歩を遂げ,研究室に臨床検査室にその装置が利用されてきたが,装置が高価なうえ操作が煩雑なため,臨床検査室で広く使用されるまでには至らなかった。

 その後,滬紙電気泳動法がGrassmann,Durrumらによって開発され,その簡便さのため日常臨床検査に広く利用されてきた。われわれも本中央検査室の開設に当り滬紙電気泳動法を利用しようと考えたが,①AlbuminのTailingと考えられる現象のため分離がよくないこと②泳動時間が4〜5ないし16時間も必要であること③冬期は分離がよいが夏期高温になると泳動像が乱れてくる傾向があり,そのため冷蔵庫中で泳動を行なう必要があることなどの欠点があるため,多数の検体を常時処理しなければならない中央検査室では本法の採用を躊躇しなければならなかった。

基本情報

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臨床検査
9巻8号 (1965年8月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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