増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見
1章 腹部エコー
消化管AGML(急性胃粘膜病変)
浅野 幸宏
1
,
長谷川 雄一
1
1成田赤十字病院検査部
pp.380-382
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202324
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疾患の概要
急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)は,1965年にacute erosive gastritis,acute gastric ulcer,hemorrhagic gastritisの3つの病態に分類し報告された.わが国においては,1973年に“急性に発症し,内視鏡あるいはX線検査で所見がみられる”病態の包括的な概念,すなわち一種の症候群として急性胃病変(acute gastric lesion:AGL)が提唱された.その後,AGMLの診断基準を“突発する上腹部痛,吐き気,嘔吐,時に吐血・下血の症状を伴って発症し,この際早期に内視鏡で観察すると,多くの場合,胃粘膜面に急性の異常所見,すなわち明らかな炎症性変化,出血,潰瘍性変化(びらん,潰瘍)が観察されるもの”と定義している.内視鏡所見としては,多発性のびらんや浅い潰瘍を認めることが多く,活動性の出血や凝血を伴う.しばしば,びらんや潰瘍は地図状を呈した特徴的な内視鏡所見を呈する.AGMLの主な成因は,精神的・身体的ストレスや薬剤〔ステロイド,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal antiinflammatory drug:NSAIDs)製剤,抗癌剤など〕などであり,薬物,食物なども挙げられる.
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