講座 検査技術者のための臨床病理学講座15
血清免疫学的検査(1)—血清検査と感染症
林 康之
1
1順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.710-712
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915792
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血清検査とは抗原抗体反応(Antigen-Antibodyreaction)を利用した診断法で,非常に特異性の高いことから感染症はもとより,最近では血液疾患,膠原病その他の病気にもしばしば応用される。
感染症に罹患した患者がその疾患に対する抵抗力を獲得するであろうという考え方は,病原体の発見以前に既に観察されていたが,血清中にそれを確かめたのは19世紀末Durhanが免疫血清中の細菌凝集素を発見しagglutininと命名したのが最初である。以来Widal,Castellaniによるサルモネラ属の凝集反応をはじめとし次々と多種類の血清反応が見出され今日に至っている。したがって血清反応は感染症と密接な関係があり,診断上病原体分離と同様に重要な検査項目となっている。またある場合には血清検査のほうが重要な意義をもつこともある。本文では感染症における血清検査を総括的に述べ,主な感染症の病像をかんたんに説明することにする。
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