Medical Technology 53巻11号 (2025年11月発行)

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特集　一般検査におけるギムザ染色標本の細胞鑑別ポイント

扉 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1053-1053

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　読者の方より「穿刺液の形態学検査について取り上げてほしいです．特に，CAPD液やBALFのギムザ染色標本の見方について教えて下さい」とのご要望をいただきました．実際のところ，一般検査部門が独立している施設は限られており，各種検体を日常的に取り扱う機会が少ないと，細胞の基本的な鑑別に悩まれることもあるのではないかと思います．

1．一般検査におけるギムザ染色の意義と基礎知識丸川　活司 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1054-1061

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ギムザ染色は乾燥標本に適し，核や細胞質，顆粒を美しく染め分けられるため，血液塗抹標本や骨髄標本において「普通染色」として使用される．一般検査領域では，髄液や体腔液，寄生虫検査など多様な検体に応用され，細胞診領域では異染性を活用して構造や成分を可視化できるようにしている．本稿ではギムザ染色の歴史，染色原理，方法，応用例，および臨床現場での意義について概説する．

2．標本作製のコツと注意点下岡　友子 , 鈴木　淳子 , 小松　京子 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1062-1068

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細胞を正しく観察するためには良好な標本が求められ，適切な検体処理と標本作製は，診断精度向上につながる要因の一つである．本稿では，ギムザ染色の標本作製方法から考えられるピットフォールとその原因をあげ，対策や注意点について述べる．

3．各種細胞の見え方　1）髄液高橋　司 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1070-1075

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髄液検査は，中枢神経系感染症では病原菌の検索に，腫瘍性疾患では原発性脳腫瘍や転移性腫瘍の検出や治療効果の判定などに有用である．採取された髄液は量，細胞数ともに少ないことが多く，細胞剥離の少ない乾燥固定のMay-Grünwald Giemsa（メイ・グリュンワルド・ギムザ）染色（MG染色）を第一選択として標本を作製し，詳細な観察を行うことが重要である．

3．各種細胞の見え方　2）胸水・腹水鶴岡　慎悟 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1076-1082

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体腔液細胞診に出現する反応性中皮細胞・腺癌・中皮腫・小細胞癌の典型例を提示し，一般検査で用いられるサムソン液・チュルク液との比較を通じて，ギムザ染色標本における細胞所見の鑑別ポイントを解説する．細胞質の詳細な観察や長期保存に優れるギムザ染色は，一般検査，病理・細胞診検査，血液検査との共通理解を深める手段としても有用である．

3．各種細胞の見え方　3）CAPD液・BALF・関節液・尿山田　暁 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1083-1087

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連続携行式腹膜透析（CAPD）液，気管支洗浄液（BALF），関節液検査におけるギムザ染色の細胞分類結果は診断・治療において重要な情報であるため，正確な細胞分類が求められる．尿沈渣検査は基本的な染色のみならず，ギムザ染色を実施して得た結果を報告することで，さらに有益な情報が得られる．

Editorial―今月のことば

日本感染症学会が創立100周年を迎えるにあたって松本　哲哉 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1045-1045

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　きたる2026年，日本感染症学会は創立100周年を迎えます．100年前にはもちろん私も生まれていませんし，当時のことは記録でしか振り返ることができませんが，なぜこの学会が設立されたのか，昔の感染症の状況に興味をいだき調べてみました．

話題―NEWS&TOPICS

日本人のための尿ナトカリ比の目標値を設定三浦　克之 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1048-1049

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ナトリウム・カリウムと高血圧・循環器病

　高い食塩（ナトリウム）摂取量が高血圧，さらには循環器病の発症リスクを上昇させることは広く知られており，さまざまな方法で減塩対策が実施されてきた．一方，野菜や果物に多く含まれるカリウムは血圧や循環器病リスクを低下させることが知られており，ナトリウムとカリウムの摂取量の比も血圧および循環器病リスクとの強い関連があることが報告されてきた．

好酸球のエトーシスとバイオマーカーとしての可能性齊藤　由紀子 , 髙橋　智映 , 藤岡　優樹 , 守時　由起 , 植木　重治 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1050-1051

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はじめに

　好酸球は，寄生虫感染やアレルギーに関連する免疫細胞として知られている．

クライテリア確立のための細胞所見―鑑別疾患と重要所見

9．骨軟部領域伊藤　崇彦 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1088-1094

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要点

・神経鞘腫の両端の尖った紡錘形核と平滑筋肉腫の「両切りタバコ状」鈍端核，核形態の違いは重要な鑑別ポイントである．

・高分化型脂肪肉腫では，核腫大と線維性間質内の異型細胞の確認が診断の鍵となる．

・Ewing肉腫の均一な核形態と，リンパ腫の核形不整・孤立散在性出現の違いを理解することが重要である．

・間葉系腫瘍の形態学的多様性への理解と，各腫瘍の典型像から亜型までの包括的な知識が求められる．

基礎講座

小型の尿路上皮細胞，尿細管上皮細胞，白血球の鑑別ポイント前田　佳成 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1095-1100

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◎小型の尿路上皮細胞，尿細管上皮細胞，白血球の基本的な形態学的特徴を把握する．

◎尿細管上皮細胞の鑑別方法を把握する．

◎白血球の鑑別方法を把握する．

病理医に学ぶ病理報告書作成―タスク・シフト/シェアに備えた基礎講座里見　英俊 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1101-1106

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◎病理報告書は，「（病理）診断」と「（病理）所見」の二部構成である．

◎病理報告書作成には「病理用語」の理解と適切な選択，構造化された記載が不可欠である．

◎臨床検査技師は現代においてもっとも文書作成の機会が多い専門職の一つである．

シリーズ押さえておきたい血管機能検査　4．その他の血管機能検査 ② 〔空気容積脈波（APG）と近赤外線分光法（NIRS〈動脈〉）〕加賀山　知子 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1107-1113

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◎APG・NIRSともに血管の機能を客観的に評価できる検査法である．

◎VFIテストは重症度の評価だけでなく，術後の改善や弾性ストッキングの効果も評価できる．

◎NIRSを用いたトレッドミル検査では，ABIが低下しないような跛行症例も評価できる．

MT Seminar―読んで、見て、深める臨床検査技師のための誌上講義

できていますか？　臨床検査技師の「確・連・報」友田　豊 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1115-1121

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要点

☑「確・連・報」（カクレンボウ）とは何か？

☑なぜ，「確・連・報」が必要か？

☑検査室でどのように活用するか？

From LABO

臨床検査室の自主運営徳竹　孝好 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1122-1124

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はじめに

　現在行われている病院検査室の運営には，① 自主運営，② ブランチ方式，③ FMS（Facility Management System）方式，④ 完全業務委託などの形態がある^1,2）．

薬剤感受性検査データ（MIC）の読み方と耐性菌検査グラム陰性菌編

11．Acinetobacter spp. 浅原　美和 , 川上　小夜子 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1125-1130

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薬剤感受性パターンと着目すべきポイント

　薬剤感受性パターンと着目すべきポイントを表1に示す．

FOCUS―いま注目のトピックを掘り下げる

ワンヘルス・アプローチで問題となる薬剤耐性菌金子　幸弘 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1131-1137

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Essence

●ワンヘルスとは，ヒト・動物・環境の健康が相互に密接に関連しているという前提に立ち，これらの領域が連携して感染症や健康課題に包括的に取り組むアプローチである．

●ワンヘルスにおけるAMRは，ヒト・動物・環境を介して耐性菌や耐性遺伝子が相互に拡散し合うことで生じる，分野横断的かつ地球規模の公衆衛生課題である．

●家畜由来の耐性菌は食品や農場環境を介して，伴侶動物由来の耐性菌は家庭内接触を通じて，それぞれヒトへの伝播リスクをもつことが明らかになっている．

臨床検査Q&A

Q　輸血で使用するルートは赤血球製剤と血小板製剤で異なるものを使用しますが，構造などにどのような違いがありますか？　ルートを間違えて使用した場合の，患者さんへの影響について教えて下さい．猪越　ひろむ 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1138-1139

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A　赤血球製剤・全血製剤・自己血製剤の輸血には輸血セットを，血小板製剤の輸血には血小板輸血セットを使用することが推奨されています．血漿製剤では，どちらのセットを使用しても問題はありません．両者の構造上のおもな違いは，フィルターの孔径，フィルターの位置と面積，そしてセットの容量（デッドボリューム）です．

Q　心電計や脳波計の差動増幅器とは何ですか？　意義や仕組みについて教えて下さい．内藤　寛 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1141-1143

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A　差動増幅器は同相成分の増幅率と差動成分の増幅率が異なることで交流雑音を抑制できる，優れた増幅器です．どんなに優れた差動増幅器でも，電極インピーダンスが大きいと交流雑音が混入してしまいます．このため，電極を装着する時は2つの電極インピーダンスを等しく十分に下げることが肝要です．

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目次 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1046-1047

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VOICE 読者のページ 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1144-1144

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MTパズル 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1145-1145

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Information 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1146-1146

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編集後記・次号予告 53巻11号 , 2025年11月 , pp.1148-1148

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基本情報

Medical Technology
53巻11号
(2025年11月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0389-1887 医歯薬出版

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