臨床婦人科産科 75巻9号 (2021年9月)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅰ)―妊娠中の処置・手術

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●中絶や流産処置に際しては,事前に十分なカウンセリングを行い患者の意思決定をサポートする.

●子宮内容除去術ではD&Cは行わず真空吸引法を用いる.

●術中術後の合併症発生には十分留意し,疑われる場合は迅速に対応する.

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●生検組織診が子宮頸部上皮内腫瘍3(CIN3)であり,細胞診とコルポスコピー所見が一致している場合には,妊娠中の円錐切除術は延期が考慮され,分娩後に再評価する.

●生検組織診が上皮内腺癌(AIS)や間質浸潤を認めるⅠA期が疑われるような場合には,妊娠中であっても診断確定のために診断的円錐切除術を行うことが推奨される.

●妊娠中の円錐切除術では,出血や流早産のリスクがあることに留意する.円錐切除術後の予防的な子宮頸管縫縮術の実施には明らかなエビデンスがない.

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●卵管膨大部・峡部妊娠は全異所性妊娠の90〜95%を占めている.ほとんどの症例で腹腔鏡手術で対応できる.

●なかでも卵管妊娠に対する卵管切除術は,腹腔鏡手術のなかでも比較的簡単な手術であり,ぜひともマスターしてもらいたい.

●卵管線状切開術は施術の前に,術後の合併症を含めた成績を示したうえで同意を得ることが肝要である.

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●卵管間質部妊娠では,治療後の妊娠で子宮破裂が起こる可能性がある.

●卵管間質部妊娠では,腹腔鏡下卵管角部切開術が子宮,卵管組織に対する損傷が少ない.

●卵管間質部妊娠に対する手術では,縫合・結紮による修復を図ることが重要である.

*本論文中,[▶動画]マークのある図につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年8月末まで).

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●子宮頸管妊娠および帝王切開瘢痕部妊娠は稀な疾患であるが,診断の遅れが治療成績に影響を及ぼすため早期の診断が重要である.

●治療は薬物療法(MTX),掻爬術または子宮摘出などが選択され,大量出血時の止血目的や処置前の血流遮断目的に子宮動脈塞栓が施行される.

●治療のクライテリアが定まっておらず,妊婦の背景,挙児希望の有無や妊娠週数に応じて適切な治療方法の選択が必要である.

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●卵巣妊娠は異所性妊娠のなかでも頻度が稀であり,治療前の正確な診断が困難であることが多い.

●他部位の異所性妊娠と異なり卵巣異所性妊娠と関連した明確なリスク因子は明らかではない.

●治療の基本は外科的治療であり,特に侵襲の少ない腹腔鏡下手術が有用である.

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●頸管縫縮術の適応によって「prophylactic cerclage(予防的頸管縫縮術とほぼ同義)」「ultrasound-indicated cerclage(治療的頸管縫縮術とほぼ同義)」そして「urgent(rescue)cerclage(緊急頸管縫縮術とほぼ同義)」に分類される.

●治療成績に影響を与える因子は残存子宮頸管長とsludgeなどの所見の有無,子宮頸管の炎症の有無などがある.

●頸管短縮例におけるMcDonald法は既往の早産や円錐切除術後など頸管無力症のリスクの高い群では有効であるが,一般症例においては無効である可能性が示唆される.

●細菌性腟炎がなく子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ陰性が確認されている妊娠16週0日〜26週6日の妊婦で子宮頸管長25.0mm以下の妊婦に対してShirodkar法を実施した場合,切迫早産管理を減少させるという限定的な結果が本邦のRCTで示されている.

●「prophylactic cerclage」の場合,エビデンスレベルの高い報告はない.「ultrasound-indicated cerclage」の場合,子宮頸管長が25mm以下の場合にはその有用性が示されている.特に子宮頸管長が10mm以下の場合には妊娠延長効果が期待できる.「urgent(rescue)cerclage」では頸管の感染の程度が予後を大きく左右する.

*本論文中,[▶動画]マークのある図につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年8月末まで).

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●早産例について,次回妊娠時の予防的頸管縫縮術の必要性の有無を明記する.

●頸管縫縮術における術式決定や,膀胱剝離などの術操作,縫縮の評価・振り返りに経腟超音波検査が有用である.

●縫縮糸に単繊維吸収糸を用いることや,経腹的アプローチなど新しい試みが始まっている.

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●絨毛採取は侵襲的遺伝学的検査であり,正しい技術を取得した術者が実施する.

●方法は経腹的と経腟的があり,胎盤の位置により方法を選択する.

●胎盤性モザイクが1%にみられ,その場合は羊水検査での再評価を検討する.

●絨毛採取が技術的な理由で困難と考えられれば,羊水検査などの他の方法への変更も考慮する.

羊水穿刺 鈴森 伸宏
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●羊水を用いて染色体検査,遺伝子解析,生化学的分析ができる.

●リスクを伴う確定検査であり,説明と同意のうえで,穿刺は妊娠15〜16週以降に行う.

●検査結果は,正常変異や性染色体疾患の場合,表現型との関連が明らかでない場合,両親の遺伝学的検査を要する場合などがあり,検査前後の遺伝カウンセリングが大切である.

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●胎児輸血は,母児間血液型不適合,パルボウイルスB19感染などによる重症胎児貧血に対する胎児治療である.

●胎児輸血の前に血液製剤の準備,投与経路の選択,超音波診断装置の設定,輸血量の計算などをしておく必要がある.

●臍帯穿刺の手技は慣れが必要である.

●胎児輸血には合併症が発生することがあるため,事前の説明と準備が必要である.

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●羊水除去術の適応決定にあたっては,AFIやMVPなどの超音波断層法のパラメータも参考とするが,主として母体の羊水過多症の重症度によって決定する.

●羊水除去術後の早期に分娩に至る症例があり,早産に備える必要がある.

●羊水除去術の実施にあたっては,母体の体勢や穿刺部位の選定など穿刺前の準備段階が処置の成否にかかわる重要な要素である.

●陰圧吸引による羊水除去術は安全に施行可能と考えられ,自然滴下や手動吸引に比べて短時間で完遂できるメリットがある可能性がある.

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●骨盤位外回転術を行う場合には,成功確率や合併症について,事前に詳細な情報提供を行い,インフォームド・コンセントを取得する必要がある.

●骨盤位外回転術を行う際の工夫として,塩酸リトドリンの投与,硬膜外脊椎麻酔の併用,頻回のノンストレステスト,超音波の併用などを検討する.

●起こりうる合併症については十分に注意を払い,必要があれば緊急帝王切開を行う.

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▶要約

 原因不明の難治性不妊症例に対し,レトロゾール併用ショート法により妊娠し得た4症例を報告する.月経2日目からレトロゾール,GnRHアゴニスト,FSH製剤の順で投与した.レトロゾールは1日2.5mgを5日間,GnRHアゴニスト製剤はブセレリンとして300μgを8時間ごと,FSH製剤はピュアFSHとhMG製剤を組み合わせて連日投与した.hCG製剤で排卵誘起し,採卵した.新鮮胚移植もしくは凍結融解胚移植で妊娠した.

 これまでショート法にレトロゾールを併用することの検討はされておらず,4症例は本法が難治性不妊の打開策となる可能性を示唆する.レトロゾールはアロマターゼ阻害薬であり,卵巣予備能低下症例において卵胞発育初期に正の効果をもたらすアンドロゲンの卵巣内濃度を上昇させる.レトロゾールを併用したことで,フレアアップに伴うLH上昇を最大限に利用でき,卵胞発育初期に限定して卵巣内でアンドロゲンが産生されたことが良好な卵子を獲得できた一因と考える.

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 女性は年齢を重ねるごとに,特定の健康状態のリスクが高まり,それに加えて,更年期障害の症状や治療法も変わってくる.更年期障害の症状や治療法と相まって,若い女性とは明らかに異なるニーズがある.適切な避妊法の選択と中止においては,各避妊法の健康上の利点とリスク,および避妊法以外の利点と欠点を理解することが必要である.

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基本情報

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臨床婦人科産科
75巻9号 (2021年9月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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