症例
レトロゾール併用ショート法で妊娠し得た難治性不妊4症例
副田 善勝
1
,
副田 翔
1
1あいARTクリニック
pp.903-910
発行日 2021年9月10日
Published Date 2021/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210489
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▶要約
原因不明の難治性不妊症例に対し,レトロゾール併用ショート法により妊娠し得た4症例を報告する.月経2日目からレトロゾール,GnRHアゴニスト,FSH製剤の順で投与した.レトロゾールは1日2.5mgを5日間,GnRHアゴニスト製剤はブセレリンとして300μgを8時間ごと,FSH製剤はピュアFSHとhMG製剤を組み合わせて連日投与した.hCG製剤で排卵誘起し,採卵した.新鮮胚移植もしくは凍結融解胚移植で妊娠した.
これまでショート法にレトロゾールを併用することの検討はされておらず,4症例は本法が難治性不妊の打開策となる可能性を示唆する.レトロゾールはアロマターゼ阻害薬であり,卵巣予備能低下症例において卵胞発育初期に正の効果をもたらすアンドロゲンの卵巣内濃度を上昇させる.レトロゾールを併用したことで,フレアアップに伴うLH上昇を最大限に利用でき,卵胞発育初期に限定して卵巣内でアンドロゲンが産生されたことが良好な卵子を獲得できた一因と考える.
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