病院 28巻4号 (1969年4月)

特集 看護要員の適正配置

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はじめに

 看護婦の不足が叫ばれはじめてすでに久しい.一般に,ある1つの職種に人手不足が生ずると,必ず希少価値から給与が上がり,待遇は改善される.その結果,その職種を希望する人が増加し,不足は緩和され,やがて希少価値はうすれて,給与も世間なみの相場に落ち着くのが需要供給の原則と考えられる.

 今から数年前,世間の好況から理科系の大学卒が企業に吸収されて,中学・高校の理数科教員が大幅に不足し,待遇改善が話題となったことがあった.現在,辺地勤務の医師にほとんど常識外の報酬が相場となっているのも,希少価値による現象にほかならない.

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はじめに

 看護婦不足の現状において,より効果的に配置することはあまりにもむずかしいことであるが,それぞれの状態に応じた配慮がなされなければならない.ひとくちにいえば,看護婦を必要とするところに厚く,看護婦でなくてもよい業務は他の人をもって割り当てることであろう.しかし,業務の内容のみによることはできない.種々な要因によってその方法は異なってくる.医療法19条によれば,入院患者数4人に1人,外来患者数は30人に1人,または端数を増すごとに1人となっている.また,夜勤を2人,月8日制を実施するためには,一定数の人員を確保しなければならない.

 いうまでもなく,その人の知識・技術・判断力に基づいて,その適応性を十分に生かすことが望ましいことであり,加えて本人の希望を入れた配置は,仕事への意欲を増して離職を防ぐ原因にもつながってくるであろう.

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 この課題を与えられて,まず重症患者という定義は何であろうかと迷った.

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はじめに

 与えられたテーマは,病院という機構の中で,占める看護要員の定員の枠内での配置が,いかに昼夜において,その職責に対処し,適正に配置され,看護業務の遂行に支障を来たさない体制がとれるか,ということであると思う.

 まず定員について,医療法第19条の4の内容からして看護婦の定員が枷になってるので,各病院がともに看護婦不足に苦しむ一端となっている現況である.

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補助者も看護チームの一員に

 看護に含まれる数多くの業務のうち,専門職の看護婦でなくてもできると思われる"しごと"を,補助者に委任してゆく.そして,看護婦はその専門的な知識や技術を,フルに活用して,より質の高いよい看護を,個々の患者の必要に見合うように行なってゆく.

 このような考えかたがささえになって,看護の補助者を看護要員の一員に加えるむきが多くなってきた.しかし,本来の理由はといえば,病院などにおける医療施設での看護サービスの拡大と,複雑化の傾向とが,看護婦の不足問題にからんで,"やむをえずに,補助者でも使って,なんとかきり抜けよう"といった,いわばなんの理論にも立脚しない,ただの現実的な対応策としてとられてきたものともいうことができよう.

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看護婦が足りない.これは,全国的な隠れもない事実である,もう何年も言われてきた.一方,病院は患者を守りつづけなければならない.現実には,看護婦の人員は,どうやりくりしても足りない.さて,どうするか?

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 茨城県立中央病院は,昭和31年1月に県立友部療養所として開設されたが,昭和32年1月に一般病院となり,現在,一般病床341床,結核病床247床(計588床)の総合病院として活動している.

 東京から急行で約2時間.土浦と水戸の中間にある友部駅からバスで10分.静かな環境,ひろびろとした敷地の中に病院がある.県立の看護専門学校・養護学校も付設され,隣接地に身体障害者センターを設置する予定であるとのこと.

病院管理のパイオニア・4

原素行—病院管理研究所客員講師
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 原先生の印象は,"口八丁,手八丁".つぎつぎと考えが浮かび,それが口から飛び出してくる.それも説得調でなく,話しかけ調なので,ついホロリとさせられる,占領下やかましかったGHQから信頼されたこと,わが国ではじめて中央滅菌材料室を作ったことなども忘れられない.今も"未来学"を説く若さがある.看護婦のシンパでもある.

病院の広場

病院が遠い近い 阿久津 慎
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 昭和44年1月22日,15時7分名古屋発の‘ひかり’の1等車で,私は目をつぶっていた.18時から始まる東京での"看護要員の適正配置について"という座談会に出席するためである.

 眠ったというほどでもないが,目を開けて見ると,汽車は浜名湖あたりを走っているようであった,私は忙しかった午前中のことを思い出しながら,こんどは,東京も近くなったものだと思っていた.

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将来への示唆をくみとることができる

 百聞一見にしかずというけれど,管理の面は個々の技術などとはちがって,ちょっとのぞいたくらいではとうてい実態を知ることはむつかしい.しかし,本書は従来の旅行記とはちがって,"病院管理専門調査報告"とあるように,病院関係各職種にわたる理論の精鋭と実地の権威26名をそろえ,周到な事前研究と専門的通訳によって初めて可能な観察と討議の結果が集められている.

 内容は各国の病院制度にはじまり,病院と医師,病院の外来,病院の各部門,看護,建築設備,人・金・物などと分担記載され,また病院管理研究者との討議や,第15回国際病院会議の記事がそえられている.行く先々の病院では,本調査がその討議の内容の高度かつ豊富なことに驚かされたといわれる.

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‘病院管理’の何たるかを知る

 本書は一覧して実によくまとまっている.病院管理に関するすべてを要領よくダイゼストしてある.これだけにまとめるには,著者の長い経験・博覧強記,そして深い思索があってはじめて可能なことであろう.

 ちなみに,著者は国立東京第一病院の小児科の現職の医長である.同病院創立以来診療に従事するかたわら,病院管理研究所の講師として,こんにちまで病院管理を講じてきたベテランである.

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 本稿は日本大学医学部付属板橋病院の病院内規案である.この病院は昭和10年,医学部の付属病院として開設された700床の病院であって,医学部の臨床各講座が置かれ,医学部の基幹的な教育病院であり,組織的にも典型的ないわゆる大学病院の形態をとっている.現在,この病院は全面的な改築工事中であって,来年3月には1200床の新築病院が完成する.

 このような現状にある大学病院を,その新築完成の時点で,どのような形で病院管理を行なうべきかが,われわれに現在与えられている課題なのである.いうまでもなく,現在の大学病院は医学教育の場として数多くの難問題をかかえている.また,現在の医療制度の下にある病院のありかたにも検討すべき多くの問題点がある.学位制度,専門医制度,研修医制度,無給医局員,医学研究費調達,病院地域化計画,特定疾患病院および後方病院計画,診療所との関連,病院における組織医療のありかた,医療保険制度,等々の多年にわたって持ち越した多くの,しかも相互に関連しあう未解決の問題がそれである.

管理者訪問・15

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 医学書院からの依頼をうけ,近畿以西の管理者訪問を受持つことになった.井の中の蛙であった私は,この機会を大事にし,多くの管理者のかたに会って勉強させていただこうと思う.

 さて,すぐに頭に浮かんだのが,京都市立病院長の弓削経一先生であった.数少ない眼科の院長である.筆者が眼科医であることにもよろうが,先生が京都府立医科大学ご在職のころから,その教育に対する,また医療や大学のありかたに対する高題な先進的思想と実行力を見聞し,かねがね敬服していた.そして院長として赴任された市立病院の動きに注意していたのである.

イギリス病院管理うらおもて・4

入院待機患者50万 一条 勝夫
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日本——激しい予算の分捕り合戦

 わが国の政府予算案は,今年は遅れて,3月4日に衆議院を通過した.参議院の審議もあるけれども,いずれにしても4月初めには成立するわけである.

 予算騒ぎは恒例のことである.わが小さな研究所でも7月ごろから作業にかかり,12月終わりか,あるいは今年のように年を明けて1月半ばに政府案が決まるまで,なんやかやとせわしい.だから新年度予算が決まるとまもなく,次年度予算要求作業にかかるわけで,もらった予算を使いもしないうちに,次の計画を考えなければならない.

病院と統計

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 全国の病院についての施設数・病床数・病床の利用状況などについてはすでに述べたが,今回はこれを都道府県別に観察してみよう.

霞ガ関だより

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病院経営管理事例集について

 疾病構造の変化に伴い,最近における医療需要は質的にも量的にも大きく変化してきており,これを担う医療機関の業務はますます複雑化し,その経営管理は年々むずかしくなってきている.厚生省は,これらの経営管理の向上を目的として,昭和39年度から"病院経営管理事例集"を発刊してきている.それらの事例はすべて,医療機関のそれぞれの部門において実際に体験し,経営管理の向上に役だった"改善事例"とともに,今後の改善に役だつであろうと思われる"アイディア"を公募し,選定集録したものであり,現実的なものであるところに,その説得力は非常に力強いものがある.

 この小冊子も今回(43年度)で第5冊めとなり,初版以来,多くの関係者に読まれ,参考にされている.次に過去5か年間のテーマと,部門別ならびに開設者別に掲載編数を分類してみると,表1,2のようになっており,国立と公的で約8割を占めている.なお小規模の病院の事例がきわめて少なく,この点は今後の編集にあたり考慮しなければならないと考えている.

見のがされやすい実務の知識

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 病院,あるいは普通のオフィスビルで種々のブラインドが使用されている.外側からながめてよく気がつくことであるが,ブラインドが中途まで下がって止まっていたり,あるいは半分斜めに上がっていたり,またテープが切れてバラバラになったりしてはなはだ体裁の悪い風景にぶつかる.いったいブラインドというものの役めがよく一般の人に理解されていないように思われるので,この問題を考えてみたい.

 外国に留学したり,見学をして帰国されたかたがたに,外国の病院でのブラインドの使用方法,あるいは掃除のしかたなどを聞いてみると,"そんなところまで気がつかなかった.さて,どうなっていたかなあー"という返事をだいたいもらう.ブラインドということばを辞書で引けば,"目かくし,すだれ"という意味が書いてあるが,現在,一般に使用されているものはベネシャン・ブラインドとよばれているものが多いようである.

病院を考える・9

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お手本としてのアメリカ

 "アメリカ医療の問題点"と題して,雑誌タイムは,現在のアメリカ医療のかかえる問題点を特集している(2月21日号).ジャーナリスティックとの批判はもちろんされようが,興味深い点も少なくない.報告はまず,"アメリカ医療は世界一"という考えは,もはや神話でしかなく,現実は問題が山積しているとし,年間530億ドルというから,19兆円もの総医療費を費消しながら,その医療費に値するだけのよい医療を受けているのは,人口の25%にすぎず,残りのうち50%がかろうじての合格点,残った25%は弁解の余地のないほど悪質か,または全然医療の提供を受けていないとしている.

 この報告は,割り引きをしても,わが国の大部分の医療担当者のいだくアメリカ医療のイメージとは,だいぶへだたりがあるようである.わが国では,終戦後の占領軍の影響が強かったせいか,医療,特に病院における医療に関しては,アメリカのやりかたが1つのモデルとなっている.医療だけにかぎらず,他の面でもみられるかもしれぬが,なにかわが国での問題点に対する解決策は,すぐにアメリカのやりかたに求められ,到達目標としていつもおかれてきた.そこには,合理性に裏づけられたアメリカ医療の進歩に,信仰めいたものが感じられるほどである.

病院建設の基本問題・12

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 病院建設のための予算を作成したり,またはその建設費を論ずるにあたって,指標として単位面積あたりの建設単価を用いることは非常に多い.これはなにも病院に限ったことではない,規模の異なる各種施設を同一基盤の上において比較検討しようとするには,ぜひとも共通の尺度が必要だからである.そのためには,算出の容易なこと,指標として比較的妥当なめやすとなりうることなどのため,単位面積(1m2)あたり単価は確かに便利であり,かつ有効である.

 しかしながら,その反面,いくつかの欠陥ももっている.安易な乱用がいろいろな弊をもたらしている例は数限りなくある.問題となる点を整理しておこう.

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 私は,一昨年,建設省からマレーシアに派遣され,コロンボプランによる病院建築専門家として,同行の川上技官と2か月間にわたり,サバ州の病院2つの増床計画のための予備調査をしてきた.この計画は,残念ながら,その後あまり進展していないが,予備調査の際,現地の医療事情をある程度知ることができたので,前記2つの病院を中心にご紹介してみよう.

学会印象記

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 この学会の特色は,学会長・三浦京大名誉教授があいさつにいわれたように,学者・研究者だけの学会ではなく,公衆衛生のあらゆる分野の実務担当者が一丸となって,現在の行政の枠にとらわれず,国民の健康福祉を増進する方策を,自由に論議・検討することにある.

 京都という地の利もあり,参加者は3500名におよんだが,学会長のことばどおり,シンポジウム・一般演題を通じ,公衆衛生の本質的の問題,具体的問題,本来のあるべき姿等々が,せまい行政の枠を離れ,自由な立場に立って論議された.

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はじめに

 精神病院では,病棟内での環境や職員の治療方針の理解度,その態度などによって治療的な雰囲気づくりが左右されることは周知のとおりであるが,高茶屋病院ではこの治療的雰囲気が患者に及ぼす影響を重視して目標を定め,その一つの方法として症状別による病棟編成が試みられた.看護部門ではこの目標の(1)治療体系の充実化(2)病棟内の環境と治療的雰囲気づくり(3)看護要員の合理的配置についての看護実施中に,おのおのの病棟内で患者の病像からの理解に,また患者のニードを深あて受けとめてきたが,今回の役割を通じて経験した問題を報告したいと思う.

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編集主幹ノート 吉田 幸雄
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 新緑がからだ全体にしみとおるような,きょうこのごろである.病院がこの春の自然ような清新な若さを常に保っていたいものである.

 さて,各病院とも労働組合の全国闘争,看護婦夜勤2・8問題の攻勢に苦慮なさっておられることであろう.たしかに夜間労働の問題は,24時間活動の責任をもっている病院として,重大な深題であり,深夜の体制はややもすると少数の看護婦のみに任せられている現状は,改善しなければなるまい.したがって,これは病院全体の問題として,24時間体制をどうしなければならないかということを,まず真剣に考えてみないといけないと思われる.

基本情報

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病院
28巻4号 (1969年4月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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