病院 27巻6号 (1968年6月)

特集 病院と医師の修練

病院と医師の修練 守屋 博
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 この問題に関して,現在ぐらい紛糾している時代はあるまい。最善の方法はどこにあるかとジックリ話し合うまえに,感情的に,政治的に,一方的の実力行動が相当の雑音を伴いながら,横行しているのである。このような行動者の言いぶんでは,過去20年間の発言は全く黙殺され,なんら改善の動きはみられなかったから,やむをえざる処置であるというのである。しかし,医師の修練は,その結果として医師の技量に関する問題であるので,単に修練生の利害やその希望だけで決定してよい問題ではない。このさい,もっとも公平に,冷静に,本質的に,医師修練の方法を,それぞれの立場で論ずることは必要であろう。ことに修練の場所である病院の立場として病院管理者も発言の場所を与えられてよいであろう。

欧米における教育病院の実態・2

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 ドイツにおける病院の教育制度について,私が筆をとることは,あまり当をえたことといえないであろう。だいいち,私は教育制度に関する専門家でないし,その方面の調査のために彼の地へ行ったのでもないし,それもはや4年近くの昔のことになろうとし,そのうえ私が籍をおいたのは一大学病院にすぎないからである。したがって,この文を依願されたときには,よほどお断わりしようと思ったが,しかし一個人の小さな経験からながめたものも,また別の意義もあるかと思い直し,あえて筆をとることにした次第である。

 本特集の目的は,現在日本医学界で最も大きな問題となっている"postgraduateの教育"に深くメスを入れることであろうと思惟する。そのためには,私はドイツ医学におけるpostgraduateの教育に焦点をしぼって書けばよいのであろうが,実のところただこれだけを切り離して書いても,なんの意味もない。それにはドイツ医学教育制度・医療制度が,当然ながら密接に関係しているものであり,その一環としてのそれがあるからである。

欧米における教育病院の実態・3

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はじめに

 同じヨーロッパのなかでも,ドイツではややもすれば基礎医学または医学の論理的な体系化が重んじられてきたのに比較して,フランスでは臨床医学ないし実際的な医学が伝統的に尊重されてきた。フランスにおける医学教育も,この伝統を反映して臨床医学を重視した教育となり,臨床的センスをもった医師の養成を第1の目標としてきた。したがって,臨床実習の場となる教育病院が,医学教育のなかで占める役割には大きなものがあるといえよう。

 さて,わが国では各大学医学部がそれぞれの付属病院を有し,そこを主体として臨床教育を行なっている。一方,フランスでは大学の医学部は基礎教室だけをもち,臨床教育のためには,大学とは直接の関係がない公立病院を利用するのが一般の傾向である。したがって,わが国における教育病院の概念をそのままフランスにおけるそれにあてはめると,管理およびスタッフの構成などの点で理解しにくい点が多くでることになる。そこで,ここではまずフランスにおける医学教育制度について簡単に説明し,そのあとで教育病院の実態について述べることにする。

インターン,レジデントコースの評価 虎の門病院の場合

役にたつObenとの接触 清水 勝
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はじめに

 私が虎の門病院のレジデント生活を送ったのは,昭和38年5月から3年間である。当時,本院は開設5年を経て,病院の基礎も固まり,教育病院として,その教育内容の充実という面にも,力が注がれるようになったころであるといってよいと思われる。レジデント制度のうえに専攻医制度が作られたのも,このころのことである。約10年の歴史をもつ本院のレジデント制度も,まだ完成されたものとはいえず,教育的立場,あるいはレジデントの立場から,常に問題が提起され,それが一つ一つ改善されるようにと,日々努力がなされている。内科系レジデントとして過ごした3年間の私の経験を通じて,実際的な問題点はどのへんにあるかを述べてみたい。

インターン,レジデントコースの評価 聖路加国際病院の場合

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まえがき

 聖路加国際病院は,1902年にDr. Rudolf B. Teuslerによって創設され,1933年に現在の本館の主要部分が建てられ,戦後は米軍に接収されたが,接収解除後未完成の外来診療部と病棟の一部が新たに追加建築されて,1961年には全館が完成した。現在369床をもつ総合病院であるが,当院は医師による診療業務と,医師以外の医療従事者(paramedical)の診療補助業務や,事務部門などが有機的に統合された組織医療としての病院医療の特色をあげることに今日まで努力してきた。同時にまた,医学校卒業後の医師の修練のための教育を早くから始め,その充実につとめて今日に至っている。

 日本でインターン制度が実施されたのは戦後すなわち昭和20年以来のことであるが,当院では日支事変前から臨床修練制度が始められ,医学部卒業後の医師は病院の宿舎に泊り込んで実地研修を受けたのである。その頃Teusler院長は,卒業後医学教育に強い関心を持たれた現院長橋本寛敏博士に教育の責任を委ねられたようである。

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はじめに

 医師の養成過程に関して,現在さまざまな論議がくりひろげられ,いくつかのトラブルも起こっているが,ここでは私が1年間,聖路加国際病院で実地修練を受けて,体験したこと,考えたことを述べてみたいと思う。

 まず第1に,なぜ私が実地修練の場として聖路加病院を選んだか。それは聖路加病院がインターンの教育に熱心であり,充実した教育が受けられる,またインターン生が全国から集まり,1年間の寮生活を通し,ほんとうの友人が広く全国にできるということがおもな理由であった。

インターン,レジデントコースの評価 東京女子医科大学付属病院の場合

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はじめに

 東京女子医科大学において,榊原教授が主宰する心臓血圧研究所が完成して,はや3年になるがつづいて,私の主宰する消化器病・早期癌センターが,昨年暮,新築落成して,その各分野においての臨床専門家を育成するという制度が,まったく軌道にのることになった。私は,これを名付けて,"医療練士研修制度"と呼び,すでに本学の教授会の許可を得て,発足以来丸2年になるが,この4月には,新たに,私の消化器病センターだけで,約20名が全国の大学よりこの医療練士の研修に参加することになっている。

 なぜ,私がことさらこのような制度を新設し,かつ現在,どのように実行されているかについて述べてみたいと思う。

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新しく設けられた"医療練士制度"

 数年前より,医学生,若い医師の間で医学教育制度,卒業後の教育制度に関して話題になっており,また実際にこれらの一部が改正されようとしている。

 東京女子医大病院においては,昭和41年4月よりpostgraduate educationの1つのコースとして医療練士制度(6年間)が設けられた。私は消化器外科を学ぶべく,その第1期生としてこのコースに入った。

グラビア

医学図書館—東京大学医学図書館
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 昭和31年にアメリカのChina Medical Board of New York財団から模範的な中央医学図書館建設の目的で建設費の半額を25万ドルまで寄付するとの申し出があった。これを契機とし,昭和33年の東京大学医学部創立100年の記念事業として建設されたものである。

 この医学図書館は,医学部の教育・研究などの総合的中心であるという理想のもとに,医学部総合中央館と称せられている。図書館を中核として,大小の集会・講義・演習のための教室と,医学史料展示室および軽食堂がある。地下1階,地上3階(中2階),延面積は約5226m2(1580坪)。

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IV.滅菌の条件

 滅菌が正確かつ健全であるためには大きくわけて4つの因子が考えられる。

1)滅菌器内の温度を規定の温度に維持する。2)完全滅菌に必要かつ十分な滅菌時間を守る。3)滅菌材料と飽和蒸気の直接接触を妨害しないように,材料の清拭と包装が行なわれている。4)滅菌器内に材料が飽和蒸気との接触に都合のいいように積みこまれている。

編集後記 岩佐 潔
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 本号の特集は"病院と医師の修練"である。

 ながらく論議されていたインターン制度の廃止が国会で成立し,医学部卒業者はただちに国家試験を受けて医師資格が得られるようになり,医師になったものは,さらに2年間臨床研修を受けるよう努めなければならないと定められた。新制度による国家試験は6月に行なわれ,引き続き新しい臨床研修が始められることになるので,この特集は誠に時宜に適した企画のように見える。

欧米病院偏見旅行記・6

ベルリンの壁をはさんで
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 ミニスカートの街ロンドンから,ゲーテの町フランクフルトまでジェットで1時間15分の旅である。このように狭くなった地球に,果して国の区別はどの程度必要なのであろうか。EECの考えが生れるはずである。しかしお国柄というのはやはり根強いものらしい。ルフトハンザのスチュワーデスは,ガッシリした美人で何よりもテキパキと片づける。しかしあまりお色気は発散しない。フランクフルトで見学した病院からも,それに似た感じを受けた。

病院の広場

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 最近,新聞にある人が"学窓を出て実社会に入った人たちは,これで勉強は一段落と思っているだろうが,企業ではきびしい教育訓練が,彼らを待ちうけていて,多くの若者たちを失望落胆させている"と,前おきして,"文明が進歩するにつれ知識の耐用期間が短くなり,学ぶべきことが増大し,教育期間が必然的に長くなるというのが,文明史の描く教育の図式である"と書いているのを見た。企業の社内教育訓練についての論文である。

 医師にあってはポストグラジュエイトの研修に相当するが,一生にわたって教育期間が広がっているといえる。医師の勤務する病院で,この点が十分に考えられているだろうか。

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20余年の生命を保つ好著の第3版

 本書の初版が刊行されたのは昭和25年のことである。本書の前身ともいうべき「病院会計の理論と実際」が出たのは昭和19年のことであるから,通算すると実に20年以上の生命を保っているわけである。

 ようやく最近になって病院会計準則が定められ,企業会計制度が常識となったけれども,現在の状態にまでわが国の病院会計が進歩するには,いかに長年月と大変な努力が費やされたことか。その足どりと,先駆者の苦闘のあとを,まさに本書に見る思いがするのである。

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 医師国家試験実施要綱が,医師法(昭和23年法律第201号)第10条の規定で発表された。医師国家試験も今回で第45回をむかえ,試験期日は,筆記試験が6月23日,実地試験は6月24日から30日までの1週間のうち各受験者ごとに指定する日,である。

 試験地は全国で10の都市(札幌市,仙台市,東京都,新潟市,名古屋市,金沢市,大阪府,広島市,福岡市,熊本市)である。

病院建設の基本問題・3

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 農村地域においては診療圏がどうなっているのか?医療需要はどれだけあるのか?ということであるが,ここでは,"病院建設の基本問題"なるこのシリーズの標題に則して,そのとりあげ方を考えなおしてゆきたい。

 いま,病院に代表される医療施設を建設するとき,基本となる考え方は,その施設を含んだその地域の医療施設群によって,その地域住民の医療要求を十分に満足させようと計ることである。これは自明の理であるから,この"建設の基本問題"も,すべてこの住民の要求充足のための計画遂行上の問題として捉えられねばならない。それゆえに,診療圏を論ずる場合にも,施設利用者(住民)の要求充足のしかたの側面から,それをとりあげてゆきたいし,医療需要予測についても,いかなる条件のもとでどのように需要が充たされていくのかといった視点から述べてゆきたい。

第17回日本病院学会パネルディスカッション

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第2回

 司会 どうもありがとうございました。最後に幡井婦長さんがおふれになりましたように,虎の門病院はDouble corridorのいちばん古いものであるのですが,いちばん古いだけに欠点もあるということでございました。今度は比較的新しい愛知がんセンターについて,まず建築的に浦先生からお願いいたします。

研究と報告【投稿】 看護要員数の算定について

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 看護要員の適正配置を行なうため,その算定を行なうにあたり,患者1人当りの看護時間を把握することは大切な要素である。そこで入院患者を1-5度の看護度に分類しその年間看護度別入院患者数の把握を行なった。次いでその患者について本院で定めた看護処置基準表に沿って看護を実施し,看護時間を測定したのでここにその調査結果を報告しよう。

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看護要員の算定公式

 看護要員の算定公式は,表III−1に示すごとく,1日平均各看護度別患者数に,同じく平均各看護度別看護時間,すなわち直接と間接の看護時間を加えたものを掛け,それに365日を掛けて,年間の総看護時間を出し,それを年間の看護婦実働時間で除して,それぞれ病棟別の総看護要員数を出した。年間看護婦実働時間は,休けい時間を含め2188時間とした。

ホスピタルトピックス 特殊病院

仏人の見た英国精神病院 鈴木 淳
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 仏人BleandonuはMaxwell Jonesの影響下にある2つの英国精神病院DingletonとHendersonを視察し,その感想を述べている(l'Informa-tion psychatrique, 10, 1967)。

ホスピタルトピックス 経営

病院とボランティア 紀伊国 献三
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 諸外国の病院を見てうらやましいことの一つは,病院内で奉仕活動を行なうボランティアの姿である。病院と地域社会との結びつきが種々議論されるが100床たらずの病院に50名近い奉仕団員(ボランティア)が病院業務の円滑な遂行のため自分たちの時間と労力をささげている姿をみると,実感として感心させられる。わが国でも,もっともっと普及し,育成すべき制度であろう。

 近着のHospitals誌は,この制度の特に発達している米国の病院におけるボランティア活動の実態の調査結果を掲載しており,その結果のうち興味深いものを紹介してみよう。

基本情報

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病院
27巻6号 (1968年6月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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