Neurological Surgery 脳神経外科 7巻7号 (1979年7月)

棋力と大脳半球 植村 研一
  • 文献概要を表示

 医者は昔からよく碁を打ち,将棋を指し,マージャンをする.今わが国のアマチュア囲碁棋士の最強者の中で,プロから転向した人達を除いたら,今村正道氏がナンバーワンといわれるが,彼も医者である.

 一方昔から医者は文科系からも理科系からもなれるといわれている.世界で医学教育改革の最先端を行くマックマスター大学の入学選考に係わる実験からも,文科系出身者と理科系出身者の間に,医学部入学後の成績に特に差はないという.

総説

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 脳卒中の疫学によって,世界の,あるいは日本のどこかで診療を受けた患者の脳卒中をその背景にある人々と共に考えようというのである.脳外科の専門医として,患者の背景にある人々と共にその症例を考えることによって,病像を理解し,また脳卒中そのものを理解する手がかりを,疫学があたえることができるのではないかと思う.

 学問にはいろいろな接近方法があり,それぞれの成果をあげてきたが,その中で疫学といわれるものによって何が得られてきたか,脳卒中の,とくに本邦人の特質に焦点をあててのべることにする.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.症例

 患者:平○尚○ 42歳 女 主婦

 主訴:頭痛,頸部痛

Current Topics

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 神経膠腫の治療にInterferonが今後どの程度関与するかは別として,Interferonの有する生物活性と,生体における役割を理解する事は,生体個有の防禦機構を知る上で重要である.

 Interferonは本邦の長野,小島らがウイルス感作細胞から産出される抗ウイルス物質をvirus inhibiting faetor(Facteur inhibiteur)として報告してから始まる(1954)44).長野らの実験は家兎の眼角膜にvaccina virusを接種し,その後,中和抗体が形成される時期よりも早い時期に,再度ウイルスを移植すると,その増殖は抑制を受ける事を明らかにしたのである.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.研究の目的

 重篤な各種脳損傷の折に稀ならず発生する中枢性消化管出血は,Rokitanskyの昔以来多くの研究者の興味を引きつけ,また実地臨床上も患者の生命予後に直結する重大な併発症の1つとして着目されて来た.これまでCushing4),Feldman6),French7)らを初めとする夥しい臨床的,実験的研究が積み重ねられてきたにもかかわらずその本態は未だ明らかではない.従ってその予防,および治療に関しても暗巾模索の段階であり,経験的あるいは他の関連領域の成績の無批判な援用にもとづくものが少なくなく,その合理性の検討も十分とは言い難い現況である.従来より薬剤起因性潰瘍の代表としてステロイド潰瘍があげられ,中枢性消化管出血併発時にはglucocorticoidは投与すべきではなく,また投与中に併発したならば投与を中止すべきであると言われて来た.しかし,視床下部自律神経中枢に対し多大の影響を与える第3脳室近傍腫瘍の手術成績を不良にしていた要因の1つに中枢性消化管出血があげられて来たが,すでに岩淵ら8)が報告しているがごとくglucocorticoid使用によりこの続発症をも抑えて手術成績の格段の向上をみている臨床的事実がある.他方,中枢性消化管出血に対する腹部手術施行例の中でglucocorticoid投与の中止により手術という更なるストレスに対応できず,急性副腎不全により死亡したと思われる症例が見受けられる事がある.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 破裂脳動脈瘤の治療において,保存的療法のみでは,再出血による死亡および症状増悪が高率に生ずるため10),可能な限り直達根治手術を行うことは異論のないところである.しかし,その手術時期に関しては,急性期の高頻度の再出血を防止するために破裂後1週以内,とくに48時間以内の急性期手術に重点を置くもの6,14,15)と,急性期手術の高い死亡率および症状悪化率を重視して2週以後の意図的晩期手術を原則とするもの1)と,種々議論のあるところである.

 われわれは,急性期の種々の臨床症状および病態を分析して,急性期手術と晩期手術を選択する立場を中心に進めてきた.本論文は,顕微鏡下手術導入以来6年余りの間に,新潟大学病院脳神経外科において破裂後1週以内に直達根治手術を施行した94症例について,術後長期観察結果を術前症状と病態に関連して分析したもので,脳動脈瘤破裂後急性期の治療方針を検討する第一段階としたい.

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 くも膜下出血後に二次的に発生する水頭症は,その発生機序6)ならびに病態生理に関し諸家の検討が報告され,破裂脳動脈瘤直接手術後に,脳血管攣縮とならんで重要な事項である.

 即ちまず脳動脈瘤破裂後早期にはacute hydrocephalusの病態13)が出現し,次にくも膜下出血が陳旧化すればAdamsら1)の提唱するNPH (normal pressure hydrocephalus)の病態が持続する.つまり,くも膜下出血においてはその早期,慢性期いずれにおいても脳脊髄液の循環障害がその基盤として存在し,破裂脳動脈瘤手術の予後6,9,10)にも大きな影響をおよぼし,くも膜下出血の早期,慢性期それぞれの水頭症に対し各種の髄液管理法がとられている.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 顔面痙攣に対する今迄の治療の方法は,いずれも顔面神経が茎乳突孔より出た末梢部で,これに加える各種の"外傷"がその主なものであった.これに対し近年,顔面痙攣の原因を頭蓋内における顔面神経の血管による圧迫に認め,この圧迫より神経を減荷する方法,すなわち,いわゆる"microvascular decompression"により,顔面痙攣を治癒せしめる方法が採られるようになった.一方同様の考え方から,耳鳴症のうち,頭蓋内における聴神経殊に,cochlear nerveの血管による圧迫のため起こると考えられるものに対しても,同様の手術法が行われ,これはまた,三叉神経痛,舌咽咽頭神経痛に対しても同様である.

 われわれは,1976年より1978年にかけて,この"microvascular decompression"の手術法で顔面痙攣,耳鳴症,三叉神経痛に対する治療を行い満足すべき結果を得た。そこで,その手術手技,成績,および合併症につき報告する.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 後頭蓋窩における動脈瘤の発生頻度は脳動瘤の10-22%位といわれている.中でも頻度の高いのは,脳底動脈分岐部,椎骨動脈後下小脳動脈分岐部などである.しかしそのほとんどは,基始部に発生するものであり,末梢部に発生したとする報告は少ない.著者らはCTスキャン上,第4脳室内の陳旧性の血腫と思われ,脳血等撮影で後下小脳動脈の末梢部に生じた動脈瘤を発見したが,手術によりこの部の巨大動脈瘤と判明した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 従来,中大脳動脈奇形は他の頭蓋内血管奇形に比して少ない1,13)と考えられている.しかし,1905年のLongoの報告12)以来,内頸動脈または前大脳動脈起源の異常中大脳動脈の発表はしばしば見られるようになっている.特に1962年,Cromptonの報告4)以後は報告例があいつぎ,脳動脈瘤の合併例や,その他の合併奇形例も報告されるようになり,中大脳動脈奇形はこれまで考えられているほど稀なものではないと思われる.われわれは脳動脈瘤に伴った重複中大脳動脈を3例,中大脳動脈M1部窓形成を2例経験したので文献的考察を加えて報告する.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 脳室内髄膜腫と呼ばれる腫瘍が実際に,側脳室の脈絡叢から発生するものなのか,あるいは脈絡組織(tela chorioidea)から発生して,二次的に脳室内に突出するものなのかにはいろいろ問題がある29).しかし脈絡組織から発生して松果体部に髄膜腫が発見された症例12)も事実存在する点から考えると,これらは区別されるべきではないかと思われる.最近,われわれは中間脈絡三角(triangular velum interpositium)に発生し,側脳室内に突出したと思われる小児髄膜腫の1例を経験し,その占拠部位より松果体腫瘍に対すると同様な外科的アプローチを行ったので,この部の髄膜腫について文献的考察を行い,その手術経路について検討した.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 くも膜下出血(以下SAH)の出血源追求には各種補助検査法を駆使した努力が行われているが,発見困難な出血源巣の1つに側脳室脈絡叢血管腫がある.最近私どもはいわゆるchoroid plexus angiomaの1例を経験したのでここに報告し,併せて文献的考察を加えてみた.

  • 文献概要を表示

Ⅰ.緒言

 従来弱毒菌ないし非病原菌とみなされていたSerratia marcescens(S.marcescensと略)は,最近臨床材料からしばしば分離されるようになり,院内感染あるいは術後感染の原因菌として注目されるようになってきた.本菌は感受性のある抗生物質が意外に少ないことや,薬剤耐性になり易いこと,および本感染症ではしばしば宿主側の防御因子である免疫機能の低下が発症に重要な関係があることなどのため,治療はきわめて困難でありかつ遷延化を招きやすい特徴がある.本邦においては,本菌による髄膜炎,脳膿瘍の報告例はほとんど見あたらないが,最近われわれは,はなはだ稀と思われるS.marcescensによる脳膿瘍の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

基本情報

03012603.7.7.jpg
Neurological Surgery 脳神経外科
7巻7号 (1979年7月)
電子版ISSN:1882-1251 印刷版ISSN:0301-2603 医学書院

文献閲覧数ランキング(
10月7日~10月13日
)