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Ⅰ.研究の目的
重篤な各種脳損傷の折に稀ならず発生する中枢性消化管出血は,Rokitanskyの昔以来多くの研究者の興味を引きつけ,また実地臨床上も患者の生命予後に直結する重大な併発症の1つとして着目されて来た.これまでCushing4),Feldman6),French7)らを初めとする夥しい臨床的,実験的研究が積み重ねられてきたにもかかわらずその本態は未だ明らかではない.従ってその予防,および治療に関しても暗巾模索の段階であり,経験的あるいは他の関連領域の成績の無批判な援用にもとづくものが少なくなく,その合理性の検討も十分とは言い難い現況である.従来より薬剤起因性潰瘍の代表としてステロイド潰瘍があげられ,中枢性消化管出血併発時にはglucocorticoidは投与すべきではなく,また投与中に併発したならば投与を中止すべきであると言われて来た.しかし,視床下部自律神経中枢に対し多大の影響を与える第3脳室近傍腫瘍の手術成績を不良にしていた要因の1つに中枢性消化管出血があげられて来たが,すでに岩淵ら8)が報告しているがごとくglucocorticoid使用によりこの続発症をも抑えて手術成績の格段の向上をみている臨床的事実がある.他方,中枢性消化管出血に対する腹部手術施行例の中でglucocorticoid投与の中止により手術という更なるストレスに対応できず,急性副腎不全により死亡したと思われる症例が見受けられる事がある.
Glucocorticoids have been widely applied in severe neurosurgical cases with brain edema, hemorrhagic shock and so on since about 20 years ago. However, it seems to have been widely accepted that if so-called neurogenic gastrointestinal hemorrhage once occurred in these cases glucocorticoids must be discontinued. Some of our clinical experience and preliminary comparative observation of glucocorticoids application made us doubt the scientific necessity of the discontinuation. To answer this question we studied plasma corticol levels by means of radioimmunoassay.
In this present work, 380 patients with intracranial lesions were subjected.
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