関節外科 基礎と臨床 40巻8号 (2021年8月)

特集 創外固定法Update

introduction 國吉 一樹

創外固定の歴史 寺本 司
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創外固定器の起源はMalgaigneのgriffe métalliqueで,Lambotteの創外固定器へと発展し,1938年Hoffmannがモジュール型創外固定器を開発し,世界で広く使われた。1905年にCodiviliaが骨延長術を報告,その後Ilizarovによりdistraction histogenesisの概念が確立し,変形矯正,骨欠損の補填が容易に行えた。最近はコンピュータを用い,変形のより正確な3次元矯正が行える。

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創外固定は難治性疾患を含めたあらゆる疾患に非常に有用なツールである。特に骨折に対する固定,変形・骨欠損に対する再建,軟部の再建に特に有用である。本稿では創外固定を用いた治療の適応と限界,またそのメリット,デメリットについて述べる。

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中等度以上の四肢開放骨折の治療では,初期にモジュラー式創外固定を用いた一時的骨安定化を行い,感染の防止と軟部組織の改善を獲得した後に根本治療を施行することが代表的な治療オプションである。初期治療における創外固定の要点は,安全にピンを設置すること,長期間の待機にも耐えうる適切な整復位を獲得しておくこと,最終治療を考慮したピンおよびロッドの配置を行うことである。初期治療の結果は開放骨折の最終治療の難易度や治療期間に大きく影響するため,適切な創外固定手技の獲得が重要である。

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骨折に対する手術治療の原則は正確な解剖学的整復位と十分な固定力を獲得し,早期可動域訓練を行うことである。しかし手指骨骨折において,特に開放骨折や関節近傍骨折,粉砕骨折などプレート固定や経皮的鋼線刺入固定術では十分な固定力の獲得が期待できない例も存在する。手指骨骨折における創外固定法は,これらの治療の短所を補い,可動域制限などの合併症を軽減する,比較的汎用性の高い治療法である。

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骨盤骨折に対する創外固定法は,全身状態の改善を目的として受傷直後に行い,その後の内固定へと変更する一時的創外固定骨折治療術や骨癒合まで装着する確定的固定法を使い分ける必要がある。固定手技はさまざまなものがあり,またそれらを組み合わせて固定力をあげることが可能である。骨癒合までの道程をイメージしたうえで行うことが重要である。

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高齢者下肢脆弱性骨折において,運動機能が低下した高齢者では患肢免荷による歩行が困難なことが多い。また老人性皮膚萎縮のため術後の皮膚トラブルも起こりやすい。骨折部の粉砕が高度な場合,強固な固定力が得られにくいために,偽関節,内固定材料の折損,変形治癒を生じ,再手術が必要なことも少なくない。超高齢社会のわが国における骨折治療において,内固定(プレートや髄内釘)での強固な固定が困難な重症骨粗鬆症症例では,固定力が強く,早期荷重が可能なリング型創外固定を選択肢としてもつことで,治療選択の幅は広がる。

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足関節周囲骨折における創外固定の適応には,足関節脱臼骨折や脛骨ピロン骨折に対して,腫脹軽減目的に行う一時的創外固定術があるが,骨折部の粉砕が強かったり,軟部組織の状態が悪かったりして,内固定困難な症例には最終固定として創外固定を行う場合がある。足部の骨折への創外固定の適応は多くはないが,足舟状骨粉砕骨折を伴ったくるみ割り骨折(nutcracker cuboid fractures)に対する骨折観血的手術で使用し,有用であった経験がある。

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下肢の外傷後変形性関節症(post-traumatic osteoarthritis;PTOA)は,アライメント,関節適合性,関節安定性の3つの異常により発生する。膝関節のPTOAは,関節内の問題(関節適合性,関節安定性,下肢アライメント)と関節外の問題(下肢アライメント)を考えて治療する。下肢アライメントの異常は,hip-knee-ankle angle(HKAA),femorotibial angle(FTA),mechanical lateral femoral distal angle(mLDFA),medial proximal tibial angle(MPTA),mechanical axis deviation(MAD),joint line convergence angle(JLCA)などを指標にして評価する。ヘキサポッド型創外固定器を用いたIlizarov法は,下肢アライメントの変形矯正にはきわめて有用である。関節不適合性による関節不安定性の改善には,脛骨顆外反骨切り術(tibial condylar valgus osteotomy;TCVO)が有用である。必要な場合は,TCVOと創外固定による下肢アライメント矯正を併用する。術中創外固定と粉砕術を用いた粉砕矯正骨切り術(chipping corrective osteotomy;CCO)は,術後に創外固定器を装着せずに治療でき,患者の負担が少ない骨切り術である。

感染症に対する創外固定 白濵 正博
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骨髄炎に対しては,病巣部に金属インプラントを留置しないほうがよいため,長管骨の安定化には創外固定が最も有効な手段である。さらに骨髄炎の病巣を掻爬した後の骨欠損に対しても,創外固定を用いて骨再建することが可能である。

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片側仮骨延長法による脛骨骨切り術は,創外固定器を用いたopening wedge osteotomyで,術後荷重下で下肢アライメントを調整できるといった利点をもつ術式であり,変形性膝関節症(knee osteoarthritis;膝OA)をはじめとする内反膝変形を呈する疾患に対し有用な治療法である。本稿では,本術式の適応,手術手技,臨床成績,および問題点について詳述する。

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若年者,特に10歳から15歳までの少年期の21例22肩の外傷性肩関節初回前方脱臼,亜脱臼の関節鏡所見を詳細に調べ成人と比較検討した。少年期では関節唇,Hill-Sachs lesionの損傷程度は成人と比べて軽かった。少年期では肩関節前方支持機構が成人に比べ脆弱なため,軽微な外力で前方脱臼,亜脱臼している可能性が高いと考えられる。

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関節外科 基礎と臨床
40巻8号 (2021年8月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0286-5394 メジカルビュー社

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