看護研究 8巻3号 (1975年7月)

焦点 姿勢・体位と看護に関する研究

臨床看護研究・6

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 体位の保持・変換のための援助は,我々がすでにみてきた食事や排泄の援助と比べるといくらかその性格が異なる。改めていうまでもないが,食事や排泄はそれぞれ独立したニードを満たすための生活行動であり,そうした生活行動を助けるという点で援助の方向性は一致している。しかし体位それ自体は一つの状態にすぎず,ある時は快・不快の結果ほとんど無意識にその体位がとられ,又ある時はいろいろなニードを満たす条件となったり,更にある時は治療・看護の目的を果たすための手段や条件にもされる。従って,体位保持・変換に関する援助の方向性は,時にはひたすら患者の安楽に向かい,時には満たすべき要求に向かい,又時には得るべき治療・看護の効果に向かうというように必ずしも一様ではない。

 又体位が一つの状態である以上,患者によっては1日24時間連続してそのための援助を必要とすることになる。つまり体位に関する援助には区切りがない場合が多い。しかし実際にそのような援助を行なうのは無理であるから,種々の体位保持用具が考案される。これらはいわば援助の手を代行するものであるから,援助活動の中で占めるウエイトも極めて大きいといえる。

解説

感情・気分と姿勢 青木 和夫
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はじめに

 "類人猿は前かがみで,その性格はきげんが悪いことで悪名が高い"という。これが事実であるかどうかは確かではないが,一般に人間でも気分の悪い時は前かがみの姿勢になり,気分がよい時には胸を張っているといっていいであろう。このように,気分は人間の姿勢にあるかかわりを持っていることは事実であるが,どのような感情や気分が,どのような姿勢に対応するのかといったことは明確にされていない。それは姿勢研究の技術がまだ未熟であるというせいもあるが,最大の原因は,感情を表わす方法が言語表現しかないということと,それらの種類が極めて多種多様に存在するからである。これら数多くの感情を,いくつかの群に分類してからでないと,感情と,その身体表現の一部である姿勢とのかかわり合いをとらえることはできない。

体位と循環と呼吸 井川 幸雄
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 血液循環や呼吸は生体のさまざまな条件で,非常に大きな変動を示している。朝,ベッドから起き,食事をし,排便でいきみ,乗り物に遅れないように走るといったことで,我々の脈拍数,血圧,呼吸数などが変化することはだれでも経験している。このような日常普通の生活をしている健康人だけでなく,臨床では,体位の変換がきっかけで急死したといった悲劇も時として起こることを考えても,看護上の体位の生理学の理解が必要であろう。

 以下,なるべく基礎的な面から体位と呼吸,循環の問題を解説したい。

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 看護行為に期待されるものは何であろうかと考えると,その多くは安楽につながる要素を持っている。そして,その安楽に関する要素で,最も基本的で,すべての行為にかかわるものとして,対象者の姿勢や体位が問題として挙げられよう。

 人間の姿勢や体位は,日常生活の中で,その人の身体的な面の苦痛や快感を表現しているものであると共に,精神的なものも表現されている。そして看護者は,その表現されているものを読み取り,判断して,看護ケアを実施しようとしている。又,そうする能力が,専門職としての看護者に要求される。

 しかし,表現されていることを,看護ケアとして実施している方法の中に,経験上,良いとしているが,なぜという理由づけに乏しいものが多い。

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 両親の健康状態とその子供の身体像の発達との関連性の本研究は身体像と同一視との関連性を調査した。研究の対象として外見的に身体障害(multiple sclerosis)を持つ両親の子供124例と健康な両親の子供60例とを比較した。身体像の尺度として3種の評価法を用いた。資料は5項目の仮説に対して統計分析を行なった。身体像の歪みは父親が多発性硬化症の女児よりも母親が多発性硬化症の女児の方が有意に大きいことが証明された。母親が多発性硬化症である女児の身体像の歪みは,母親が多発性硬化症である男児のそれよりも有意に大であった。従って,自己と同性の親との同一視をするという前提は仮説のうちの2項目において支持された。

 健康は人間とその環境との関係全体を包含する全生活過程の一つの表現である(Ackerman 1958)。乳幼児にとっては,環境は家族集団のほぼ全体を占めている。"発育期"にあっては,小児の環境は自然に拡大する。家族は,しかしながら,常に成長と発育との基本的な単位なのである。 慢性の障害者が外来通院並びに・あるいは自宅療養を行なう例数は増加の傾向にある。すべての適応からみて,この方式は今後も続けられよう。

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 8週間にわたって,一般病院の176人の外科患者を対象に,手術室における看護ケアの有効性,効率,安全性,術前術後の不安のレベル,麻酔からの離脱の形式,回復室及び術後最初の48時間に投与された鎮痛剤の回数,術後の身体的問題の数,入院期間の長さなどについて,手術室看護婦による術前訪問の効果に関する比較研究を行なった。本研究ではこの術前訪問に関して,四つの結論を得た。

 1)訪問は手術室・回復室における看護ケアの有効性を増大させる有効な手段であった。

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 本誌 今回は高橋美智著の"看護婦であること"を取り上げて抄読会を行ないます。

 本書は著者の高橋先生も言っておられるように,研究書ではありません。しかし,高橋先生が20年看護に携わってこられた,その積年の凝縮されたものが,研究というところへ行く前の段階で,鋭く問題提起されている本だと思います。

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関連医学会一覧(1975年10月)
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日本小児保健学会・協会総会(第22 回)

 10月3-4日.泉 幸雄(弘前大 教授),弘前市・弘前市民会館 〔特別講演〕 ①看護からみた小児 保健へのアプローチ(弘前大助教 授 吉武香代子)②予防接種の現 状と未来(東大教授 平山宗宏) ③思春期の健康相談(大妻女子大 教授 平井信義)

 〔会頭講演〕 小児慢性疾患の自然 歴と管理(弘前大教授 泉幸雄) 〔シンポジウム〕 ①無医地区にお ける小児保健の現状と未來像(司 会=岩手医大 若生 宏)②境界 領域の医療と小児保健(司会=国 立小児病院副院長 今村栄一)

基本情報

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看護研究
8巻3号 (1975年7月)
電子版ISSN:1882-1405 印刷版ISSN:0022-8370 医学書院

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