看護研究 24巻1号 (1991年1月)

焦点 ロイ看護適応モデル

シンポジウム

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 看護のもつ強さは,アメリカにおける200万人近いRN,そして日本の推定43万人といわれる就業看護婦の数からきています。しかし,それだけでなく,私たち看護婦が共通の信念をもち合わせていること,つまり,人間に対する信念,看護に対する信念,そしてサービス専門職の目的に対する信念を共有していることからもきています。今日,世界の,社会のさまざまな側面において,ヘルスケアや経済,政治,道徳などの危機が叫ばれ,各分野の専門家が対応を迫られています。エイズは世界的な伝染病として脅威を強めており,撲滅への闘いは1990年代には1980年以上に,そして次の世紀には更にそれ以上に厳しくなってくると思います。国際的な出来事に目をやると,麻薬やテロ,環境汚染などの問題があり,アメリカの都市においては,ホームレスや飢餓の問題,また日本では,農山村生活の衰退が問題になっています。私たちは,これらの問題に対応する社会・政治組織の無能さに落胆する一方,何とかしなければならないという思いにかられます。政府には幻滅させられ,その上,テクノロジーは,私たちの道徳的解決能力を越える倫理的問題を起こして,混乱させています。

 以上のことは,看護とどのような関係があるのでしょうか,特に臨床知識の発展に向けての理論と研究にどのように結びつくのでしょうか。

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はじめに

 今回のシンポジウムは,第16回看護研究学会へのロイ博士招聘講演を記念しての,サテライト・シンポジウムである。

 看護一般理論は,わが国でも数多く紹介されてきているが,その中でもロイ看護論は多くの人々に関心がもたれ,使用されてきている。

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 現在,私共はロイ理論について学習途上である。ロイ適応モデルを用いて看護過程演習や臨床実習を行なっているが,模索しながら行なっている試験的段階であるので,正確な評価が出せるまでには至っていない。ここでは,本学でのロイ適応モデルへの取り組みについて,実際を紹介したい。時間に限りがあるので,次の3つの点に絞って述べる。

 (1)ロイ理論の導入までの経過

 (2)看護過程への適用

 (3)今後取り組むべき課題

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 今日,ここでシンポジストの1人として席にすわることができ,大変,光栄に思っている。1986年に日本看護学会看護教育分科会で,私はロイ看護理論を用いたケーススタディの検討について発表した。それが,この京都会館であり,なつかしさとともに今日のテーマと,場所との関連性から不思議な関係を感じさせられている。

 さて,私の述べるテーマは,ロイ看護論の教育への適用についてである。この内容については,1985年全国看護研究会の学術集会のシンポジウムで,私が発表しており,全国看護研究会誌にその内容が掲載されているため,周知されている方もおられると思われる。

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はじめに

 共同研究者である荒谷喜代美と私は,これまでロイ適応モデルを活用して,日本看護科学学会に3題報告した。

 発表した3題の対象は,①癌患者介護者1),②寝たきり老人介護者2),③では対象を広げ,患者にとって他人である就職間もない看護婦3)であり,なお質問項目は2題,3題と続ける中で不適切な項目や用語には微調整を加えている。

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1.ロイ看護モデル適用の背景

 7年程前,学科増設準備を行なっていた頃,教員の間に種々の看護理論に対する関心が高まるとともに,カリキュラムの拠って立つところを再確認する必要性が生じてきた。特に看護を展開する上での難点となっているアセスメントを,どの理論に基づいて行なえば適切に系統的に行なうことができるだろうかという点と,もう1つは,講義と実習が一貫した理論で結びつかなければならないという点に,討議が集中していたように思う。また,基礎看護教育は実践家を育てるのが主な目的であるから,種々の理論を研究させるよりも,どれか1つの理論に沿った実践の仕方を教えれば,他の理論の活用も困難ではなくなるだろうという考えもあった。

 カリキュラム構築は全教員参加によらなければならないとの考えに立ち,全教員による集中的カリキュラム検討会が3年余り重ねられた。その中から,本学科の教育理念,教育目標を確認し合い,看護教育内容の根拠となる概念枠組を曲がりなりにも作成した。そしてロイ看護モデル,オレムのセルフケア論,ジョーンズの適応能力モデルについても検討し,これらの適用の可能性なども併せて考慮した上で,ロイ適応モデルを中心に置いた実習指導を行なうことになったのである。

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はじめに

 看護教育において,概念枠組を基にカリキュラムを構成している学校が増加してきている。看護学生に教育する際には,あらかじめ看護科学における人間のみつめ方を枠組としてもっているほうが,もたないよりも,そこに隠されている意味や本質に近づきやすいと考えられている。

 そこで,本校も1987年から,ロイモデルを導入してカリキュラムを運営してきた。1990年3月,このモデルを用いて教育した第1期生が卒業したのを機に,3年間の実践をまとめたので報告する。

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 ロイ看護論を我が校のカリキュラムの一部に導入していることは前に述べた1,2)。そこで,基礎看護学の対象論と臨床実習の2点について,その内容の概括を次に示す。なお,この内容は1989年度までのものである。改正カリキュラムになってからのものは,現在,検討しながら進行しているところであるため,今回は提示を控えたい。

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英語論文へのアプローチ

誤訳のすすめ(8) 内海 滉
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 英語論文へのアプローチとして,引き続いてHeidtを読む。

 はじめに,この項の標題を今年から改めて“英語の中の数学(1)”とする考えのあったことを書いておこう。“誤訳のすすめ”はすでに(7)まできているし,英語論文へのアプローチとして,本項では“英語の中の数学”を取り扱うことを目標として,話を進めることもひとつの行き方であると考えてみた。なるほど原文は,比較的統計数学的な処理が多く,このために使用した統計数学においては種々の問題点もあるから,“英語の中の数学”または“英語の中の統計学”でいっこうに差支えないとは思ったのであるが,しかしながら,まず,“数学”が“英語”の中で“英語によって”影響を受けることは絶対にありえないこと(どんなに外国語で表現されても数学の法則の本質においてその外国語の影響を受けることはない,逆に“数学”を表現する時の“外国語”は数式の影響を受けて特徴的である,だからもし将来,特にそれを問題として取り上げる時が来たら,“工業英語”や“化学英語”の例にならって“数学英語”とでも命名して執筆することにしよう),しかも,X氏が折角の準備を整えているので,今回もやはり“誤訳のすすめ(8)”で我慢してもらうことにした。

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 昭和63年の資料によると,就業看護婦(看護士)の総数は387,316名,そのうち看護士は8,062名で,全体のわずか2.1%にすぎない1)

 これまで看護は女性の天職と考えられてきた。ナイチンゲールは以下のように述べ,看護が女性の仕事であることを強調した。

基本情報

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看護研究
24巻1号 (1991年1月)
電子版ISSN:1882-1405 印刷版ISSN:0022-8370 医学書院

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