形成外科 67巻5号 (2024年5月発行)

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特集　血管腫・脈管奇形の長期治療経過

企画にあたって寺師　浩人 67巻5号 , 2024年5月 , pp.443-443

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血管腫・脈管奇形の長期治療経過の総論と今後の展望佐々木　了 , 村尾　尚規 , 石川　耕資 67巻5号 , 2024年5月 , pp.445-455

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はじめに

　血管腫や脈管奇形は，醜状，疼痛などさまざまな症状を有し，合併症や後遺症も少なくない。切除，レーザー，血管内治療（硬化療法，塞栓療法）などに加えて，薬物内服治療も治療の選択肢に入ってきたが，いまだに難治例は存在し，長期的マネージメントが求められる。

　本稿では，血管腫・脈管奇形の概説と，各疾患の長期経過症例の提示を行い，長期間の疾患管理の重要性と今後の展望について述べる。

プロプラノロール内服療法を行った乳児血管腫症例の中長期治療経過桑原　広輔 , 朴　修三 , 加持　秀明 67巻5号 , 2024年5月 , pp.456-464

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はじめに

　乳児血管腫へのプロプラノロール内服治療はわが国で2016年に保険適用となり，現在では乳児血管腫の合併症もしくはその予防に対する最も安全かつ有効な治療に位置付けられている 1）2）。しかし，内服治療後の長期的な経過についてはいまだに不明なことも多く，手術やパルスダイレーザー（以下，PDL）照射などの追加治療が必要となる症例も少なくない。当院でプロプラノロール内服治療を行い，中長期的に経過観察できた乳児血管腫44例において，写真による治療効果の評価，手術やPDL照射などの追加治療の有無，また内服開始時期の影響や病型や部位による違いなどを検討した。

血管奇形に対する硬化療法と切除術の併用における長期治療経過林　礼人 67巻5号 , 2024年5月 , pp.465-475

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はじめに

　血管奇形は，先天的な血管の形成異常とされ，毛細血管奇形，静脈奇形，リンパ管奇形，動静脈奇形などさまざまな病態が存在する。病態は構成する脈管に基づいた分類がなされ，おのおのの疾患によって症状や経過の特徴も異なるが，近年では原因遺伝子に加え，病変形成に関与する分子生物学的なシグナル経路も明らかになってきている 1）2）。

　静脈奇形は血管奇形の中でもっとも多く，病変が複数箇所に生じていたり，深部や広い範囲に及ぶこともしばしばで，その治療に長い経過を要することも多い 3）。一方，動静脈奇形については，Schöbingerの臨床病期分類に示されるように，経時的に進行していく特性を有する 4）。治療には硬化療法に代表される血管内治療や外科的切除術が主に用いられるが，難治例などではそれらを組み合わせた集学的治療を要することも多い 5）。時間の経過や環境因子などにより，症状や大きさに変化を生じるため，長期経過を見据えた治療戦略は非常に重要になる 6）。

　今回われわれは，治療から5年以上と比較的長期の経過観察を行い得た静脈奇形と動静脈奇形症例のうち，経皮的な硬化療法と切除術の併用例について，その経験をまとめ報告する。

遊離皮弁により再建した動静脈奇形切除術の長期治療経過岩科　裕己 , 尾崎　峰 , 大島　直也 67巻5号 , 2024年5月 , pp.476-485

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はじめに

　動静脈奇形（arteriovenous malformation：以下，AVM）の主な治療法には，塞栓術などの血管内治療や硬化療法および切除術があるが，進行例では根治が困難であり再発しやすい 1）。巨大な病変に対しては，症例に応じた治療方法や治療時期の選択が重要である。われわれは，巨大病変に対しての血管内治療や硬化療法はあくまでも潰瘍や出血および疼痛の改善などの病勢の制御を目的とする手段であると考えている。最終的に根治を目標にすることが可能な病変であれば，外科的に病変を切除することが望ましい。しかし実際は，機能障害や整容性の問題，致死的出血のリスクなどを考慮したうえで手術を計画するため，結果的に完全な切除とならないこともしばしば経験する。

　巨大なAVMにおいて，根治を目的とした積極的な切除術は，遊離皮弁などによる組織欠損の被覆が必要となることが多い。本稿では，当科でAVM切除後に遊離皮弁により再建した症例の長期経過を報告する。

術後31年に及ぶ長期経過を観察できた顔面巨大動静脈奇形の1例右田　尚 , 守永　圭吾 , 力丸　英明 , 清川　兼輔 67巻5号 , 2024年5月 , pp.486-492

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はじめに

　動静脈奇形（arteriovenous malformation：以下，AVM）に対する治療法としては，主に塞栓術や硬化療法などによる血管内治療と手術療法の2つがある。血管内治療については，低侵襲ではあるものの根治が困難で，治療の際にAVMの皮膚表面に潰瘍を生じると，その部分からの大量出血によって逆に患者のADLを低下させてしまうことがある。一方，手術療法でも，部分切除を行うと残存したAVMが急速に増大し，同様にADLの低下を招くことがある。当科には，他院にて複数回の治療が行われ，すでにこのような状況に陥った症例が数多く紹介されてくる。このような症例でAVMを根治的に治療するためには，著者らはnidusを外科的に全摘することが必須と考え，実際にその治療法を長く実践してきた 1）～4）。

　当科では31年前に巨大AVMの手術を初めて行ったが，その患者が今も存命であるので，その長期経過と全摘の必要性について報告する。

連載　随想

無駄小久保　健一 67巻5号 , 2024年5月 , pp.441-441

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連載　コラム

編集委員長コラム［第57回］大学入試の面接試験細川　亙 67巻5号 , 2024年5月 , pp.495-495

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連載　私の心に残る1症例

No.47 加藤　久和 67巻5号 , 2024年5月 , pp.496-500

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連載　みんなで考えよう！足病カンファレンス Season2

case 8　アンジオサムコンセプトに基づいた足部再建術藤井　美樹 67巻5号 , 2024年5月 , pp.502-510

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連載　だれでもわかる手の外科の基本—アンチ丸暗記・虎の巻—

No.9　伸筋システム—正中索と側索の構造永竿　智久 67巻5号 , 2024年5月 , pp.511-519

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連載　形成外科NEXT—次世代の本音—

手に職をつける樫山　和也 67巻5号 , 2024年5月 , pp.520-521

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連載　教室だより北～南

No.113　愛知医科大学形成外科 67巻5号 , 2024年5月 , pp.522-526

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連載　ザッツ形成外科！

Vol.5 不安要素中村　優 67巻5号 , 2024年5月 , pp.527-527

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連載　外国文献抄訳

PRS Vol.152 No.3 67巻5号 , 2024年5月 , pp.544-549

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投稿論文　症例

ティッシュ・エキスパンダーを用いて葉状腫瘍切除後の乳房変形を軽減した1例奥山　智輝 , 山本　康 , 矢吹　雄一郎 , 田中　紗耶 , 佐治　詩保子 , 林　礼人 67巻5号 , 2024年5月 , pp.528-533

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はじめに

　葉状腫瘍は比較的まれな結合織性および上皮性混合腫瘍である。治療としては放射線療法や化学療法は確立しておらず，外科的に切除することがガイドラインで推奨されている 1）。まれに急速な増大を示し，巨大になるものがある。良性であっても腫瘍直上の皮膚が伸展するとともに正常乳腺を圧縮・圧排しながら増大するため，切除術を行った場合は死腔を生じる 2）。死腔が残存したまま閉創した場合や圧排された残存乳腺同士を縫着した場合に，不適切な皮膚癒着や皮膚と乳腺組織との不均衡が生じ，乳房変形が起こる。

　今回われわれは，葉状腫瘍切除後の死腔へ拡張した状態でティッシュ・エキスパンダー（tissue expander：以下，TE）を挿入し，徐々に容量を減らすことにより乳房変形を可能な限り最小限に抑えることができた症例を経験した。

体壁結核の1例奥野　友孝 , 岩谷　博篤 67巻5号 , 2024年5月 , pp.534-537

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はじめに

　わが国において，結核はほかの先進諸国に比較するといまだに頻度の高い疾患だが，近年その罹患率は減少傾向にある。

　今回われわれが経験した体壁結核は肺外結核の中でもまれな病態であり，不用意な介入により耐性菌や院内感染の危険性がある。このため，皮下腫瘤を取り扱う機会の多い形成外科医が常に鑑別に挙げるべき疾患と考えたので，報告する。

白線ヘルニアの1例稲田　享希子 , 岡本　年弘 67巻5号 , 2024年5月 , pp.538-542

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はじめに

　白線ヘルニアとは，腹壁正中に存在する白線の間隙から生じる腹壁ヘルニアの一種で，腸管などのヘルニア内容が嵌頓すれば致死的な状態に陥る疾患である。われわれは，中年女性に生じた白線ヘルニアを経験し，外科的治療を行った。白線ヘルニアの外科的治療法の選択と，われわれが本症例で施行した治療について，若干の文献的考察を交えて報告する。

その他

目次 67巻5号 , 2024年5月

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欧文目次 67巻5号 , 2024年5月

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投稿規定 67巻5号 , 2024年5月 , pp.552-555

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次号予告 67巻5号 , 2024年5月 , pp.558-558

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バックナンバー 67巻5号 , 2024年5月

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定期購読ほか　申込みシート 67巻5号 , 2024年5月

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基本情報

形成外科
67巻5号
(2024年5月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0021-5228 克誠堂出版

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