Japanese
English
特集 勉強の心理学
大学院で勉強ができなくなること
高野 明
1
1東京大学
pp.298-302
発行日 2026年5月10日
Published Date 2026/5/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26030298
- 有料閲覧
PPV購入案内
1,650円 (1,500円+税10%) こちらは、298ページから302ページの文献です。
PPV(ペイ・パー・ビュー)とは、論文(記事)単位で購入・閲覧ができるサービスです。
購入には医書.jp本会員登録が必要です。
会員登録完了後に改めて上記「購入サイトへ」を選択してください。
または「購入サイトへ」選択後に「購入ログイン」、「新規会員登録」の順に進んでください。
会員登録について詳しくはをご確認ください。
購入には医書.jp本会員登録が必要です。
会員登録完了後に改めて上記「購入サイトへ」を選択してください。
または「購入サイトへ」選択後に「購入ログイン」、「新規会員登録」の順に進んでください。
会員登録について詳しくはをご確認ください。
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
I はじめに
学生相談の実践では,「勉強(研究)ができなくなった」と悩む大学院生にしばしば出会う(福留,2005;高野ほか,2012)。この困難は,単なる学業の停滞にとどまらず,自らの存在価値が脅かされ,深い落ち込みや傷つきに繋がることもある。研究活動は,大学院生にとって学位取得の手段であると同時に,自らの専門性やキャリアと強く結びつく営みであり,その停滞は自らの「生」を脅かす要因にもなり得る。
Satinsky et al.(2021)のメタ分析によれば,博士課程の大学院生におけるうつ病の有病率は24%,不安症の有病率は17%と推定され,一般人口(5~7%)と比較して,顕著に高くなっている。また,Liu et al.(2019)やFriedrich et al.(2023)は,研究の進行困難や孤立,不十分な指導体制が,抑うつや不安を引き起こすリスクになると指摘している。
研究ができなくなることは,ほとんどの大学院生にとって,強いネガティブな体験になる一方で,停滞のなかで模索する過程で,自らの新たなあり方を摑み取る転機となることもある。これまでの自分を振り返り,他者に助けを求め,新たな対処を身につけて,少しずつ研究活動に戻っていく者もいれば,いったん研究から距離を取り,別の方向性を見出すことで,歩みを取り戻す者もいる。勉強のつまずきから回復するプロセスは,必ずしも一本道ではない。
本稿では,研究中心大学に在籍する大学院生に対する学生相談の実践経験をもとに,勉強を人生の中心に位置づけている人たちが,どのように勉強ができなくなり,そこからどのように回復していくのかについて,その心理学的意味を論じてみたい。

Copyright© 2026 Kongo Shuppan All rights reserved.

