特集 勉強の心理学
進学校において勉強ができないこと――子どもと家族の傷つきとその回復プロセス
坂元 龍太
1
1あざみ野心理オフィス
pp.294-297
発行日 2026年5月10日
Published Date 2026/5/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26030294
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I はじめに
私は,とある中高一貫の私立校でスクールカウンセラー(以下,SC)として働いている。勤務先の学校はいわゆる進学校と呼ばれる学校である。本稿において私に期待されているのは,進学校を取り巻く「勉強」を一つの観点として,子どもがどのようなことに苦しみ,その背景にはどのような病理があるのか,そしてどのような回復がなされていくのかという点であると理解している。
「進学校において勉強ができないことは生死に関わる問題である」―この言葉を聞いて,どのように感じるだろうか。「中高生の間くらい勉強に追われず青春を謳歌してほしい」「進学校に行っているくらいなのだから,それだけで幸せなことじゃないか。贅沢な悩みだ」という声があるかもしれない。これは正しい。SCとして子どもや家族と関わるなかで,勉強をマストと考えていたら彼らに救いはない。ただそれでもなお「進学校において勉強ができないことは生死に関わる問題」なのである。彼らを支援するためには,いかに子どもや家族が勉強をマストとして捉え,そこに苦しんでいるのかを理解する必要がある。よって本稿では私の進学校でのSC臨床体験をできる限り言葉にし,特集テーマである「勉強の心理学」を考える参考になればと考えている。

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