特集 勉強の心理学
貧困と学習支援――児童養護施設における子どもの学びの現実
真澄 徹
1
1荒川区教育センター
pp.303-307
発行日 2026年5月10日
Published Date 2026/5/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26030303
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I はじめに
児童養護施設は,虐待や死別,貧困を背景として,何らかの理由で一緒に暮らすことができない児童が生活する場である。私の仕事は,養育担当職員の代替の宿直と,子どもたちの学習支援と施設退所に向けた自立支援とそのアフターフォローであった。たとえば,次のような勉強の風景が浮かぶ。
夕暮れ時,児童養護施設の学習室には,子どもたちが集まってくる。小学生たちは,漢字ドリルを広げ,鉛筆を走らせて今日の宿題に取り組む。隣の席では,部活動帰りのジャージ姿の中学生が,定期テストに向けて数学のワークブックと格闘中である。提出期限が迫っていて,眉間に皺を寄せながら問題とにらめっこしている。さらに時間が経つと,アルバイトを終えた高校生が学習室に顔を出す。明日の土曜日に,英語の課題を個別に見てほしいと予約を入れていく。それぞれの目標に向かって,子どもたちの学びの時間が流れていく。
このありふれた風景に潜在しているのは,経済格差が勉強に与える大きな影響である。本稿ではこの現実について考えてみたい。紹介する事例はすべて架空のものである。

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