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は じ め に
脊柱靱帯骨化症は,脊椎に存在する靱帯が異所性に骨化することにより神経障害を呈する疾患群であり,主として脊椎後縁を走行する後縦靱帯が骨化する後縦靱帯骨化症(OPLL)と,椎弓間の黄色靱帯が骨化する黄色靱帯骨化症(OLF)の二つに大別される.いずれも発症機序には未解明な点が多く,進行例では脊髄・神経根圧迫により重度の神経障害を生じうることから,厚生労働省の指定難病(指定難病68,69)として医療費助成の対象となっている1).
わが国における脊柱靱帯骨化症の診療水準向上を目的として,厚生労働科学研究費補助金による研究班が継続して活動しており,2020年度以降は体制を新たにして研究が推進されている.われわれは,同研究班の事務局として多施設共同研究の運営や診療ガイドライン整備に携わり,これまでに複数の多施設研究が実施され2~6),2019年には『脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019』が公表されるなど,診療体制は着実に整備されてきた7,8).しかし一方で,全国規模で悉皆的に症例を集積できるレジストリは依然として十分に構築されておらず,実態把握やエビデンス創出の基盤として大きな課題が残されている.
難病に対する医療の質を向上させるには,日常診療の実態を正確に把握し,治療成績を客観的に検証できる基盤整備が不可欠である.とりわけOPLLやOLFのような稀少疾患では,単施設の経験に依存した診療から脱却し,全国的な症例レジストリを構築することが多施設共同研究の推進とエビデンス創出の前提となる.
このような背景から,われわれは2020年4月に運用が開始された日本整形外科学会症例レジストリ(JOANR)と連携し,脊柱靱帯骨化症を対象とした悉皆性の高いレジストリシステムを構築した9).本稿では,その概要と運用の実際,さらに今後の展望について概説する.

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