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は じ め に
後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament:OPLL)は,脊柱管内に存在する後縦靱帯が骨化をきたす疾患であり,骨化の増大により脊髄または神経根の圧迫障害をきたす難病である.1960年に月本がわが国初の剖検例を報告して以来1),わが国を含む東アジアでの罹患率が高いことが知られ,1975年に厚生労働省の特定疾患に指定されて以来,全国規模での疫学調査や成因に関する基礎・臨床研究が精力的にすすめられてきた.わが国における頚椎OPLLの有病率は,従来の単純X線調査では約1.9~4.3%2,3),近年のCTを用いたより詳細な調査では6.3%4)と報告されている.
これまでのOPLL疫学調査や臨床研究の多くは,手術にいたった症例や,明らかな脊髄症状を呈する患者群を中心とした解析が主体であった.一方,実際の臨床では,症状が軽微であるか無症状のため,保存的に経過観察されている頚椎OPLL患者が多数存在する.過去にOPLLの自然経過を調査した研究としては,松永らの保存療法例167例の報告が代表的であるが5),十分なエビデンスが存在しておらず,より大規模なデータベースの構築が必要であった.
このような背景から,われわれは厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「脊柱靱帯骨化症に関する調査研究」班および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業の支援のもと,保存療法が選択された頚椎OPLL患者を対象とする前向きレジストリシステムの構築を全国多施設共同で2019年より開始した.本稿では,本レジストリに登録された582例の登録時データを解析し,頚椎OPLL保存療法例の患者背景,臨床所見,画像所見の特徴について報告する.

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