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Ⅰ.はじめに
鈍的外力による内頸動脈閉塞症は,1872年Verneuil29)が報告した鉄道事故による症例以来,現在まで200例近い症例が報告されている.多くは交通外傷を代表とする様々な不慮の事故によるものである.今回著者らが経験した症例は,縊死を企て未遂に終った後に出現した例で,頸部索条痕(縊痕)に一致する頸部内頸動脈閉塞症である.縊死に際し頸動脈閉塞を認められた報告例は極めて少なく,1944年のNorthcroft20)の報告からでもわずか数例にすぎない4,22).本症例は未遂に終ったがため,神経学的異常所見を呈し,このため内頸動脈壁の損傷を発見された極めて特殊な例である.一般に縊死に際しては,窒息現象が主に観察されており,頸動脈閉塞による脳循環障害のもたらす影響は軽視されている5,6,28).この点,本症例は多くの示唆を与えるため,若干の文献的考察を加え,ここに報告する.
A case of internal carotid artery occlusion clue to attempted hanging was reported.
This 51-year-old man, who failed in suicidal hanging, remained in right hemiplegia and total aphasia. Left carotid arteriogram revealed complete occlusion of the internal carotid artery approximately 1 cm distal to its origin. Surgical exposure of the internal carotid artery was performed 4 weeks after the attempted hanging.

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