特集 アディクション支援のフロントライン
依存症に対する運動療法の実際と意義
山下 悠毅
1
1ライフサポートクリニック
pp.79-84
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070079
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Ⅰ 極真空手との出会い
私は大学1年時に「極真会館」という武道空手に入門し,現在の修行歴は29年ほどになります。学生時代は周囲から「空手バカ」と揶揄される一方で,それを誇らしく思うほど空手に没頭していました。私が極真空手に惹かれた最大の理由は,創始者である大山倍達先生の「実践なくんば証明されず,証明なくんば信用されず,信用なくんば尊敬されず」という言葉でした。1960年代,国内の空手が「伝統空手」と呼ばれる「寸止め・ポイント制」の空手が主流であった中,大山先生は「直接打撃制」である実践空手を提唱され,1990年代の存命中には世界123カ国に1,200万人以上の門下生を作られました。そんな極真会館に入門した私は,大学卒業後もアルバイトで生計を立てながら全日本選手権へ7回出場,29歳時に日本代表として北米選手権大会へ出場し,優勝することができました。その後は32歳で現役選手を引退。初期臨床研修,精神科後期研修等を経て42歳時に東京豊島区にライフサポートクリニックを開設し,依存症の治療にあたっています。

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