特集 別居・離婚・再婚家族と子どもへの支援
一方が離婚に同意しないカップルへのアプローチ――William Dohertyによるディサーンメントカウンセリング
小笠原 知子
1
1金沢大学
pp.710-716
発行日 2025年12月5日
Published Date 2025/12/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51060710
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ディサーンメントカウンセリング(Discernment Counseling:識別カウンセリング,以下DC)とは,米国の家族療法家Willam J. Dohertyによって開発された,離婚の危機にあるカップルのための意思決定を支援する短期セッションのことである。米国において発達したカップルセラピーは,両パートナーが関係改善を目的としてセラピストと共に取り組むことが前提となった心理療法であるが,DCは,カップルセラピーに取り組むかどうかも含めて,それぞれのパートナーが自身の夫婦関係について,方向性を見極めるために必要な対話を支援するモデルである。特に離婚に関して両者が異なる態度を取っている,あるいは一方があいまいな態度に留まっている,といったカップルを対象とした唯一の介入モデルとして近年,注目されている。本論考では,DCを米国におけるカップルセラピーの流れに位置づけながら,その独自性と先駆性を取り上げてみたい。次に,日本社会における離婚を取り巻く現状,特に2026年5月より施行となる選択的共同親権および共同監護を取り上げ,DCがもたらす新しい可能性について論じてみたいと思う。

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