特集 リカバリーを目指す認知療法(CT-R)を実臨床で生かす
慢性痛の臨床で活用する
柴田 政彦
1
1奈良学園大学保健医療学部
pp.495-496
発行日 2025年8月5日
Published Date 2025/8/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51040495
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国民の10人から20人に一人が腰痛,肩こり,頭痛,関節の痛みなど,身体の痛みと関連したなんらかの症状を有している(厚生労働省,2022)。また,これらに関連した,医療費,生産性の損失,生活の質の低下などによるコストは年間数兆円規模になるとされており,慢性痛は数多くの国民が抱えている問題の一つであると言える(田倉・他,2018)。一方,われわれ,慢性痛を専門として診療している医師は,さまざまな治療で効果がなかった患者や,疾患の重症度から予想されるよりもはるかに生活の質が低下している,いわゆる難治性慢性痛患者を診療している。一言で慢性痛といっても,痛みをもちながらも医療機関を受診せずに大きな支障なく暮らしている方から,生活の質が著しく低下し人生そのものが大きく損なわれている方までさまざまなケースがある。また,痛みなどの訴えは,世の中の金銭や能力などに関する不公平を吸収する緩衝材的な役割も担っているかもしれない。
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