特集 妊娠・出産という経験
周産期リエゾンにおける精神療法的アプローチ
竹内 崇
1
1東京科学大学大学院医歯学総合研究科精神行動医科学分野 リエゾン精神医学・精神腫瘍学
pp.316-320
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51030316
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はじめに
精神科臨床において,精神科医が妊娠について向き合う場面はどのようなことが想定されるであろうか。外来で担当している患者が妊娠した場合や,妊娠中に何らかの精神症状を呈し産科から紹介されて受診する場合,そのほか未受診妊産婦が妊娠後期になって初めて産科を受診した際に何らかの精神疾患の合併が疑われ紹介される場合などが考えられる。さらに,不妊治療や流産などを契機に精神症状を呈して紹介されることや,昨今の生殖医療技術の発展に伴う意思決定支援などにもかかわることがある。一方,産後に関しては,産後うつ病,産褥精神病を代表とする産褥期精神障害への対応が求められる。
筆者は長年,大学病院においてコンサルテーション・リエゾン活動に携わってきた。周産期メンタルヘルスの領域については,深くかかわることになって約10年になる。本稿では,筆者の勤務する施設の周産期リエゾンの取り組みについて述べたうえで,周産期において有用性が指摘されるようになった心理療法の紹介,長期間にわたって心理支援を要する事例についての検討を通して,周産期リエゾンにおける精神療法的アプローチに関する筆者の考えを述べてみたい。

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