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Ⅰ 教職員のハラスメント問題
2020年にいわゆるパワーハラスメント対策法が施行されたことを受け,各教育現場でも研修や実態調査をはじめとするハラスメント対策に取り組む組織が増えている。例えば,各県の教育委員会が教職員,特に校長や教頭などの管理職を対象とした研修プログラムの一つとしてハラスメントのテーマは今や定番と言っても良いほど一般化している。
筆者も現場の先生方のお話を伺う機会が少なくないが,教師から生徒に対するハラスメントのケースはあまり聞かなくなったものの,教師間―先輩や管理職から後輩や若手教職員に対する―のハラスメント問題や他の教員への指導方法について悩んでいるケースが多い印象がある。特に最近は,指導の範囲を超えた言動によってハラスメント問題に発展してしまう教員に対して,どのように注意をすればよいか悩んでいる管理職の話を多く聞くようになった。
ハラスメント,特にパワーハラスメントの判断基準として,優越的な関係を背景としていることが条件の一つとして挙げられるため,少なくとも行為者側は役職や地位,経験年数ほか何らかの権威(パワー)を背景にしている。同じような言葉を選び,同じような態度で,同じように指導をしていても,同等の立場の相手による言動と,パワーの差がある相手による言動では受け手が感じるインパクトは異なってくるが,ハラスメント行為者は自分の言動が相手に与えるインパクトの大きさを理解し想像する力が非常に弱いタイプが多いため,配慮に欠けた言動を繰り返してしまうことでパワーハラスメント問題に発展するのである。怒鳴りつけたり殴りつけるような例は論外であり,最近はこのようなわかりやすいハラスメントのケースは少なくなっているが,上述のようないわゆる想像力が欠如しているがゆえの,配慮に欠けた言動によるハラスメント問題が増えている印象がある。
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