連載 中間管理職の悩み・第7回
指導とハラスメントの狭間で,どのように指導したらよいのでしょう?
藤原 愛作
1
Aisaku FUJIWARA
1
1特定医療法人明徳会佐藤第一病院リハビリテーション部教育管理課
pp.89-91
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203322
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はじめに
理学療法士は日々の業務のなかで,後輩や学生へ指導を行う場面があるが,近年ハラスメントの問題などもあり,「指導が難しい」という声を聞く機会が増えた.
実際の事案として,2007年に職場内の上司からのいじめ・ハラスメントが原因でうつ病を発症した労働者が自殺した事件では,自殺の原因として「パワーハラスメント(以下,パワハラ)」が日本で初めて労働災害と認定された1).私たちの業界に目を向けてみると,臨床実習中に上記のようなハラスメント事例が起きており,パワハラが自殺の要因であったことが認定されている2).
このような事例の再発防止のために,ハラスメント防止に関する取り組みが多く行われるようになっており,日本理学療法士協会からも倫理に関するポスターや動画が公開されている3).これらを見てみると,価値観の押し付けや相手への思い込みなどがモラルハザード(倫理感の欠如)として紹介されている.
そこで,本稿ではパワハラの定義を確認したうえで,相手との認識の違い(バイアス)の観点を踏まえ,指導者側がもっておくべき注意点について考えていく.
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