特集 学生・教員をまもるハラスメント対応
看護系教育機関におけるハラスメント対応事例1―指導教員によるアカデミックハラスメント事例
吉村 和代
1
1名古屋大学ハラスメント相談センター
pp.1024-1035
発行日 2021年11月25日
Published Date 2021/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201844
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相談対応部門について
筆者ら(吉村・内川)の勤務する名古屋大学ハラスメント相談センターでは、臨床心理士や公認心理師、精神保健福祉士の資格をもった相談員が、大学のすべての教職員・学生やその家族、関係者からハラスメントに関する相談を受け付けている。名古屋大学では、学内規程において、ハラスメントの認定機能と相談機能が分離しており、当事者などに対し中立性・公平性が保たれる構造になっている。認定機能をもつ「ハラスメント防止対策委員会」は、総長や研究科長などに指名された34名と、学外の弁護士など2名の委員で構成され、「申立て」において調停や事実調査などのハラスメント救済措置を講じる機関である。事実調査の場合、当事者および関係者に対する聞き取り調査などの結果を踏まえ審議し、ハラスメント認定など処分の必要があると判断した場合は、総長に対しその旨勧告を行うとともに、関係部局に対しては、その旨を伝達することを担う。
一方、相談機能をもつ当センターでは、相談対応により相談者へのカウンセリングや、状況や気持ちの整理を通して相談者自身が主体的に解決するサポートを一義的な役割としつつ、ハラスメントの認定の有無に関わらず相談者の置かれた環境を調整したり、相手方への注意喚起を行ったりといった「申立て」以外の学内規程に基づいたサポートを行っている。その他、教職員・学生へのハラスメント啓発活動や、当センターや学内規程について周知を行うことも相談員の仕事である。
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