特集 26ケースで学ぶ臨床心理アセスメント――インテークとフィードバックをつなぐ〈スキル7〉
トラウマの影は潜伏する――ACEs/アディクション
中野 葉子
1
1原宿カウンセリングセンター
pp.186-193
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.69291/cp25070186
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1 はじめに
アディクションの背景にACEs(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)やトラウマがあることは,現在のアディクション臨床における基本的理解とされている。こうした理解に基づき,援助者には,アディクションを「病理」や「障害」としてのみ捉えるのではなく,過去や現在の被害体験に根ざした適応的反応―自己治療としてのアディクション(Khantzian & Albanese, 2008/2013)―と捉える視点が求められる。
加えて重要になるのは,アセスメントが単なる情報収集にとどまらず,それ自体がケアとして機能していなければ,臨床的な意味を持ち得ないという点である。なぜその人にとってアディクションが「必要」だったのかという問いを出発点に,生育歴や被害の歴史に丁寧に耳を傾けることが,より適切な援助へとつながっていく。
本稿では,こうした視点に基づき,私設相談機関において行った実践を,初期アセスメントと介入を中心に提示する。なお,本事例は複数の類似ケースをもとに構成した架空事例である。

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