私の経験
潜伏遠視を伴った調節緊張の1例
金井 友宏
1
,
塩田 佐智子
1
,
原 郁美
1
,
斎藤 由香
1
,
斎藤 信一郎
1
,
牧野 伸二
2
1斎藤眼科医院(小山市)
2自治医科大学眼科学講座
キーワード:
潜伏遠視
,
調節緊張
,
調節機能解析装置
Keyword:
潜伏遠視
,
調節緊張
,
調節機能解析装置
pp.287-290
発行日 2022年3月5日
Published Date 2022/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002542
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潜伏遠視を伴った調節緊張の1例を報告する。
8歳の男児が視力低下のため受診した。視力は右0.4(1.2),左0.4(1.2)であったが,近見視力は,遠見屈折矯正下では両眼とも0.04(0.08)であった。調節機能解析装置による検査で調節緊張の傾向があった。シクロペントラート塩酸塩点眼による調節麻痺下屈折検査を行い,両眼とも潜伏遠視がみられたことから,遠見完全屈折矯正眼鏡を処方した。眼鏡装用下で,遠見視力は両眼とも(1.2),近見視力も(1.0)と良好な視力が得られ,自覚的にも改善した。潜伏遠視があることで,遠見,近見ともに明視するために常に調節を強いられている状況で,持続的な過緊張状態が生理的調節閾を越え,調節緊張状態となったと考えられた。本症例の経験から,近見での視力低下が顕著な症例には,潜伏遠視の存在を考えた調節麻痺下屈折検査,また,調節機能測定装置による検査が必要であり,それらの結果から適切な眼鏡処方を行うことが重要であると考えられた。
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