講座
乱視と潜伏斜視
保坂 明郎
1
1東京医科歯科大学眼科
pp.28-32
発行日 1956年10月10日
Published Date 1956/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201282
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眼が見ようとするものを何時もはつきりと見ていることは,何でもないことのようですが,よく考えてみるとこれは大変な働きを営んでいることになります.眼に病気の起らない限り一生使えるのですから高級カメラでもとてもかないません.カメラに比して特にすぐれている点として,1)無限大から眼の近くまで何処にでもすぐにしかも自動的にピントが合う.2)二つの眼で見ているために遠近感,立体感が完全である 3)視角が広くて上下には約60度,左右には100度位まで見える等の点があげられます.これだけから見ても眼が微妙な働きを持つ器官であることがわがりますが,反面また少しでも欠陥があると,これらの働きが妨げられることになります.3)の場合は,カメラに例えたので視角と言いましたが,眼科では普通に視野といつております.これが狭くなつたり,部分的に見えない所(暗点)が出たりするのは中枢神経系や眼自体の病気によるわけですが,ここでお話しする乱視と潜伏斜視はそれぞれ 1)と2)の故障の1つと考えれば話がわがり易くなると思います.
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