今月の主題 不整脈のハイライト
比較的難解な不整脈
Concealed A-V conduction(潜伏伝導)
外畑 巌
1
,
奥村 満麿
2
1名大中検
2名大第1内科
pp.53-56
発行日 1976年1月10日
Published Date 1976/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206372
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Concealed A-V conduction(CAVC)は,1948年Langendorf1)により臨床心電図学に導入された用語で,刺激が房室接合部に侵入したが,そこを完全に通過し,心房または心室へ伝導する前に消滅したことが後続事象(続いて起こる刺激伝導および生成)に及ぼす影響(後効果,aftereffects)により推測される現象を指す.後効果として,①後続刺激の伝導遅延またはブロック,②房室接合部pacemakerの刺激生成が予期される時点より遅れる,③稀に後続刺激の伝導促進,があげられる.
CAVCの概念は古く,すでに1890年代には動物実験成積より知られており,1927年には,Kaufmannらは初めてこの概念を臨床心電図に適用した.1948年以降,CAVCはLangendorf,Pick,Katz1〜4)らにより臨床心電図で広範に研究され,臨床不整脈解析における意義が確立された.以前,CAVCの発生部位は房室結節と考えられていたが,Hoffmanら5),Mooreら6,7),Watanabeら8)による微小電極法,近接双極法を用いた動物実験により,伝導途絶は房室接合部のみならず,His-Purkinje系で,また房室接合部の種々なlevelで起こることが立証された.これらのことは,房室伝導系が電気生理学的特性の異なる種々な心筋組織より構成されていることより,容易に理解しうる.
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