特集 26ケースで学ぶ臨床心理アセスメント――インテークとフィードバックをつなぐ〈スキル7〉
「生きづらさ」から「主体性の構築」へ――発達障害(成人)
稲田 尚子
1
1大正大学臨床心理学部臨床心理学科
pp.58-64
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.69291/cp25070058
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1 はじめに
本稿では,自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder : ASD)の診断と心理的支援を求めて医療機関を受診した,成人クライエントに対する支援の実践的事例を通じて,アセスメントから介入,そしてその成果の評価に至る一連の心理支援プロセスを報告する。発達障害に関する知見は近年着実に広がりを見せており(厚生労働省,2020),成人期におけるASDの診断や支援の必要性も広く認識されるようになってきた。しかし,成人期のASD当事者に対する心理的支援は,児童期に比べて依然として実践報告が限られており,その効果的な支援方略の確立が課題とされている。そこで本稿では,臨床実践の視点から,成人ASD当事者への支援におけるアセスメントや介入方法,その成果の評価を紹介する。なお,対象者のプライバシー保護の観点から,本事例は架空のものであるが,実際の臨床現場に基づいた構成とした。

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