特集 疾患・外傷のある顔—知っておきたい「見た目」の問題
隠ぺいされた生きづらさ—「ふつう」と「ふつうでない」の間の容貌
松本 学
1
1大阪府立大学大学院総合科学研究科
pp.407-412
発行日 2000年5月1日
Published Date 2000/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903461
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はじめに
顔にアザやきずをもつ人がいる.アザやきずをもつことで,人とは違う顔であると認識され,さらに「ふつう」とは違う人であると思われる.そう思われるのに,一般に「障害」とは考えられていない.このような不当に差別されている人のもつ生きづらさとはどのようなものか.筆者は本稿でこの生きづらさを,私たちのもつ常識の観点から考察したい.
筆者は顔面にアザやきずなどがあり,「ふつう」と異なるように見られる容姿のことを「疾患固有の容貌」と呼んだ1).これは表現としてのニュートラルさを求めたものであり,実際にその後のセルフヘルプグループ活動(ユニークフェイス)において,会の名称を決める際の根本概念ともなっている.この言葉を考える際には,以下のようなことを念頭においた.
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