連載 当事者研究・18
「人間関係という生きづらさ」の研究
伊藤 知之
1
1べてるしあわせ研究所
pp.76-80
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100083
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1.プロフィール
私は、小学生の頃からクラスメートにいじめられる体験をもち、さらに躾けが厳しい父親のもとでどこにも安心できる場所のない生活を20年以上強いられてきた。そんな中、成績を上げて苦心して大学に入学したが、在学中に統合失調症を発症した。
発症時の症状は、通学途中にある商業高校の女子高生が私の悪口を言っているような感覚に襲われるというものだった。それで精神科を受診した。発病後、根性で6年かけて大学を卒業し、公務員試験に合格して生活保護ワーカーの仕事につくも、人間関係などのプレッシャーから段々と閑職に追いやられ、平成13年3月に休職となった。
しかし、以前の仕事を通じて日赤病院のソーシャルワーカーの向谷地生良さんや当時からのメンバーの早坂潔さんと知り合っていたおかげで、今は「べてるの家」の活動にも参加し、回復者クラブの副代表としても、役所に勤めていたときには考えられなかったほど多忙で、かつのびのびと仕事をさせていただいている。そして、講演活動への参加やこの「当事者研究」の活動を通じて、自分の病気の症状と苦労のメカニズムに気づいてきた。今回はそれをまとめてみたい。
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