特集 26ケースで学ぶ臨床心理アセスメント――インテークとフィードバックをつなぐ〈スキル7〉
焦りで居ても立っても居られない――統合失調症
濱家 由美子
1
1東北大学災害科学国際研究所 災害精神医学分野
pp.65-72
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.69291/cp25070065
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1 はじめに
統合失調症には陽性症状,陰性症状,認知機能障害,気分症状,不安症状など多彩な症状が伴い,さらに性格特性やトラウマ歴,環境因といった背景を加味する必要もあるため,症例ごとの複合的なアセスメントが欠かせない。加えて,猜疑心や病識欠如のために症状および問題の共有が困難な場合もあり,治療者の観察力・想像力がアセスメント時には求められる。介入にあたってはフォーミュレーションの共有が肝要だが,侵襲性への配慮と,合意形成の上で介入を開始する慎重さが他の疾患以上に求められると同時に,アセスメントと介入を同時並行で進める柔軟性も必要となる。
本稿では,統合失調症の介入において,フォーミュレーションの構築とその柔軟な修正が治療展開に与える影響に注目する。とりわけ,アセスメントとフォーミュレーション共有のプロセスに焦点を当て,その臨床的意識を具体的な事例を通じて検討していきたい。なお,事例の掲載にあたっては本人の同意を得た上で,個人が同定されないよう必要な修正を加えている。

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