特集 学派論――公認心理師時代に学派を再考する
「道具箱」としての学派,その訓練と成熟について――対立から融合へ
堀越 勝
pp.662-667
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25060668
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I はじめに
サイコセラピーは,その起源や理論的背景,独自の介入技法に基づき,精神分析・精神力動,行動主義,人間性,認知行動などに大別される(Kazdin, 2008)。それぞれの流れから多様なモデルが派生し,時代ごとに進化してきた。これを歴史的に整理することで,現代の学派間融合や共通要因・プロセスに基づく新展開を理解できる(Norcross & Goldfried, 2019a)。本稿ではあえて学派を「道具箱」,技法を「道具」と喩え,サイコセラピストをその使い手として捉えて,訓練と成熟の過程を検討する。サイコセラピーは欧米,特に米国で発展し日本に導入されたが,教育理念や訓練体系,資格制度,医療システムには大きな差があるため,単純移植は困難である。したがって本稿の目的は,学派を臨床的「道具箱」として位置づけつつ,日米の共通点と相違点を明らかにし,専門的成長のあり方を考察することである。

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