現代のカルテ
中ソ対立とは?
野口 肇
pp.45
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202578
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中ソの意見対立がにぎやかな話題になっています.とくに日本もふくめアメリカやヨーロッパのいわゆる「自由諸国」の報道は,あれこれのできごとにかこつけて対立の深刻さをつたえ,半ば興味本位に描きたてています.このままでゆくと両国はめきさしならぬ冷戦状態におちいるとのややオーバーな推測さえながれています.そのおもな内容は,ソ連がわりにおだやかな「平和共存」政策をとり,世界平和の維持のためアメリカと話しあい,必要なら妥協もしようとするのにひきかえ,中国は帝国主義打倒のためなら戦争も辞せないと「好戦的」な強硬態度にでていることだ,というのです.
じじつ両国の政府とこれをうごかす双方の共産党の考えかたには対立があります.日本の共産党あたりも昨秋ごろまで,中ソ対立はアメリカ陣営がバラまいているデマにすぎないと力説していたが,さすがに両国間にくいちがいがあるとみとめるようになりました.同様に世界各国の共産党もそれぞれ,早く民主的に討論しあって意見調整し,一枚岩の団結をとりもどそう,でないとますますいまの不一致を相手につけこまれ,世界の平和と革命の事業に重大な損失をまねくと,ほぼ声をそろえてきました.そしてこの中ソの意見対立ですが,共産主義に関心のない一般の人びとにとっても切実な問題です.そこで中ソ対立というのはなにか,大きくわけて2点でちがいがあります.
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