特集 脳血管障害
セミナー 脳卒中の病態・診断・診療体制に関する最新の話題
遺伝性脳血管障害を学ぶ
猪原 匡史
1
1国立研究開発法人国立循環器病研究センター脳神経内科
キーワード:
▶遺伝学の進歩により,アテローム血栓性脳梗塞の感受性遺伝子や脳小血管病(ラクナ梗塞)の原因遺伝子が次々と明らかになってきた.
,
▶わが国のアテローム血栓性脳梗塞の最大級の感受性遺伝子はRNF213である.
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▶RNF213 p.R4810Kバリアントの頻度は若年発症の頭蓋内動脈狭窄例では30%を超える.
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▶わが国の単一遺伝子異常による脳小血管病の大部分は,NOTCH3変異(CADASIL),HTRA1変異(CARASIL),ABCC6変異(弾性線維性仮性黄色腫)により説明可能である.
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▶CADASILはこれまで想定されていた以上に高頻度の疾患であり,軽症例は見逃されている.
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▶一見孤発性の脳卒中や血管性認知症の中に,NOTCH3変異の保因者が多く含まれている.
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▶NOTCH3 p.R75P変異によるCADASILでは,典型的な前側頭極の白質病変が観察されないことが多い.
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▶CARASILは常染色体潜性の遺伝様式を示す希少疾患であるが,ヘテロ接合性HTRA1変異でも脳小血管病を発症しうる.
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▶女性のFabry病では血液中のαガラクトシダーゼ活性が基準値範囲でもFabry病が否定できず,遺伝子検査が必須となる.
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▶Fabry病はαガラクトシダーゼ酵素補充療法による治療が可能である.
,
▶脳出血の原因遺伝子として知られているものは少ないが,collagen4A1/2, APP, CCM1/2/3などがある.
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▶MELASの80~90%はmtDNA変異によって引き起こされるため,母系遺伝形式をとる.
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▶弾性線維性仮性黄色腫は日本人の遺伝性脳小血管病で頻度が高いことが最近明らかとなった.
,
▶Ehlers-Danlos症候群には,頭頸部を含む全身の血管病変をきたす血管型がある.
Keyword:
▶遺伝学の進歩により,アテローム血栓性脳梗塞の感受性遺伝子や脳小血管病(ラクナ梗塞)の原因遺伝子が次々と明らかになってきた.
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▶わが国のアテローム血栓性脳梗塞の最大級の感受性遺伝子はRNF213である.
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▶RNF213 p.R4810Kバリアントの頻度は若年発症の頭蓋内動脈狭窄例では30%を超える.
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▶わが国の単一遺伝子異常による脳小血管病の大部分は,NOTCH3変異(CADASIL),HTRA1変異(CARASIL),ABCC6変異(弾性線維性仮性黄色腫)により説明可能である.
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▶CADASILはこれまで想定されていた以上に高頻度の疾患であり,軽症例は見逃されている.
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▶一見孤発性の脳卒中や血管性認知症の中に,NOTCH3変異の保因者が多く含まれている.
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▶NOTCH3 p.R75P変異によるCADASILでは,典型的な前側頭極の白質病変が観察されないことが多い.
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▶CARASILは常染色体潜性の遺伝様式を示す希少疾患であるが,ヘテロ接合性HTRA1変異でも脳小血管病を発症しうる.
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▶女性のFabry病では血液中のαガラクトシダーゼ活性が基準値範囲でもFabry病が否定できず,遺伝子検査が必須となる.
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▶Fabry病はαガラクトシダーゼ酵素補充療法による治療が可能である.
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▶脳出血の原因遺伝子として知られているものは少ないが,collagen4A1/2, APP, CCM1/2/3などがある.
,
▶MELASの80~90%はmtDNA変異によって引き起こされるため,母系遺伝形式をとる.
,
▶弾性線維性仮性黄色腫は日本人の遺伝性脳小血管病で頻度が高いことが最近明らかとなった.
,
▶Ehlers-Danlos症候群には,頭頸部を含む全身の血管病変をきたす血管型がある.
pp.83-88
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.01_017
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はじめに
TOAST(Trials of Org 10172 in Acute Stroke Treatment)分類では,脳梗塞を,①大血管アテローム硬化による脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞),②心原性脳塞栓症,③小血管閉塞による脳梗塞(脳小血管病,ラクナ梗塞)のほか,④その他の原因による脳梗塞(その他の脳梗塞),および⑤原因が特定できない脳梗塞(潜因性脳卒中)に分類している.日本を含む東アジア人は,白人に比べて病型①のうち頭蓋内動脈狭窄によるものと,病型③が多いことが知られている1).米国在住のアジア系住民の病型内訳は,東アジア人のそれに近似することから,東アジア人と白人の病型内訳の差を生み出しているのは,環境要因よりも,遺伝素因である可能性が高いと考えられてきた.

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