特集 全身疾患と口腔咽頭病変
遺伝性疾患
遺伝性血管性浮腫
高村 さおり
1
Saori Takamura
1
1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科
キーワード:
遺伝性血管性浮腫
,
ブラジキニン
,
喉頭浮腫
Keyword:
遺伝性血管性浮腫
,
ブラジキニン
,
喉頭浮腫
pp.747-750
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000649
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はじめに
血管性浮腫は,血管透過性の一時的な亢進により,皮膚や粘膜の深部に生じる限局性の浮腫である。その病態は,一般的な蕁麻疹と同様の肥満細胞(ヒスタミン)が関与するタイプと,ブラジキニンが関与するタイプに大別される1)。後者のうち,背景に遺伝的素因を含むものを遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)という。HAEは主に,補体第1成分エステラーゼ阻害因子(C1-esterase inhibitor:C1-INH)遺伝子の異常により,皮膚,腸管,喉頭などに突然浮腫を繰り返す疾患である2)。喉頭浮腫は気道閉塞による窒息死の危険性があり,HAEは特有の治療を要するため,耳鼻咽喉科領域の診療でもその鑑別と治療について知っておくべき疾患の1つである。
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