Japanese
English
特集 循環器疾患と遺伝子
脳血管障害と遺伝子
Clinical Impact of Gene Technology in Cerebrovascular Disease
松本 昌泰
1
,
木村 和文
2
,
鎌田 武信
1
Masayasu Matsumoto
1
,
Kazufumi Kimura
2
,
Takenobu Kamada
1
1大阪大学第一内科
2大阪大学バイオ研核医学
1The First Department of Internal Medicine, Osaka University Medical School
2Biomedical Research Center, Osaka University Medical School
pp.233-241
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900237
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
あらゆる生命体の営みがその固有の遺伝子の発現と環境との相互作用によることは異論のないところである.人の生命現象やその病的破綻の過程もその例外ではありえない.近年のバイオテクノロジーの長足の進歩は,遺伝子レベルでの生命現象や病態の解明を急速に押し進めつつあり,まさに大きな医療革命の波が押し寄せて来ているといっても過言ではない1).1988年には人の全遺伝子を解明しようとするヒトゲノムプロジェクトを国際的に推進するべくHUGO(human genome organization)が設立され組織だった活動も始まっている.このような時代の変極点において,あらゆる疾病と遺伝子との関係を再整理し,その認識を深めることは時代の要請ともいえる.その意味で本特集の「循環器疾患と遺伝子」もきわめてタイムリーなものと思われる.
さて,脳血管障害と遺伝子の関わりを考える際には,脳血管障害発症に関与する遺伝的危険因子を明らかにし,その発症予防を目指す立場と,脳血管障害による脳障害に対する遺伝子応答現象の検索により,その病態解明と治療法の開発を押し進める立場がある.本稿では,この両者につき最近の進歩を概説するとともに,一部後者に関し著者らの研究室で得られた研究結果を紹介する.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.