特集 肺 炎
                        
                        
                
                  
                  
              
              
              
                  
                  
                  
                  
                            
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                                    誤嚥性肺炎を理解する
                                    
                                    
                            
                            
                        
                
                
                            
                            
                                
                                    
                                        
                                            
                                                小宮 幸作
                                            
                                            1
                                        
                                        
                                        
                                        
                                            
                                        
                                    
                                
                                
                                    
                                
                            
                        
                
                
                
                  1大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                
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                                    ▶誤嚥性肺炎の発症において,誤嚥のリスクと誤嚥後の肺炎成立に関与する因子を考慮する.
                                
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                                    ▶誤嚥性肺炎は,誤嚥のリスクがあり,病原体が宿主の防御能を凌駕した場合に発症する.
                                
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                                    ▶誤嚥性肺炎と診断する意義は,繰り返す場合には老衰の過程であることを認識し,誤嚥の予防法を検討することである.
                                
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                                    ▶予防法として,口腔ケア,会話や歌唱の励行,ワクチンなどがあげられる.
                                
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                                    ▶誤嚥性肺炎において,喀痰からMRSAや緑膿菌が検出されてもそれらをターゲットにした治療の有効性は認められていない.
                                
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                                    ▶原則として広域抗菌薬を投与しないことが推奨されており,ACPを含めた総合的な診療が必要とされる.
                                
                                
                            
                        
                
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                                    ▶誤嚥性肺炎の発症において,誤嚥のリスクと誤嚥後の肺炎成立に関与する因子を考慮する.
                                
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                                    ▶誤嚥性肺炎は,誤嚥のリスクがあり,病原体が宿主の防御能を凌駕した場合に発症する.
                                
                                ,
                            
                            
                                
                                    ▶誤嚥性肺炎と診断する意義は,繰り返す場合には老衰の過程であることを認識し,誤嚥の予防法を検討することである.
                                
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                                    ▶予防法として,口腔ケア,会話や歌唱の励行,ワクチンなどがあげられる.
                                
                                ,
                            
                            
                                
                                    ▶誤嚥性肺炎において,喀痰からMRSAや緑膿菌が検出されてもそれらをターゲットにした治療の有効性は認められていない.
                                
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                                    ▶原則として広域抗菌薬を投与しないことが推奨されており,ACPを含めた総合的な診療が必要とされる.
                                
                                
                            
                        
                
                pp.1712-1716
                
                
                
                  発行日 2025年11月1日
                  Published Date 2025/11/1
                
                
                
                DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.11_018
                
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誤嚥性肺炎の概念
今日の診療において,誤嚥性肺炎という疾患名は広く使用されている.誤嚥性肺炎は,「嚥下機能が低下した宿主に生じる肺炎」と定義される1).しかし,一般的に想起される疾患概念としての誤嚥性肺炎と,肺炎成立の機序を説明した誤嚥性肺炎とは認識上やや乖離しているように感じる.例えば,誤嚥性肺炎と診断される場合,日常活動度の低下した高齢者に発症した肺炎をイメージされることが多い(図1).実際に,寝たきりまたはそれに近い活動度の高齢者に生じる肺炎の多くは,嚥下機能が低下しているために誤嚥性肺炎と診断されることに矛盾はない.一方で,肺炎の成立機序という視点では,病原体を誤嚥して発症するものを誤嚥性肺炎と診断することができる.これまで,市中で発症する肺炎の多くは病原体を吸入することで発症すると考えられてきた.しかし,一定の割合で市中肺炎の代表的検出菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌が咽喉頭に付着していることが報告されている.さらに,明らかな嚥下機能の低下がなくとも,多くの健常人が睡眠中に微量の誤嚥を起こしていることも知られている2).つまり,日常活動度が保たれた市中肺炎であっても咽頭に付着した病原体を誤嚥することで「誤嚥性肺炎」を発症していることが推測される.日常診療で用いられる誤嚥性肺炎は,比較的明らかな誤嚥が存在すると考えられる高齢者の肺炎を指すことが多い.

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