特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー② リスク層別化検診の課題
HPV検査を用いた子宮頸がん検診の課題
森定 徹
1
1杏林大学医学部 産科婦人科学教室
キーワード:
▶HPV検査単独法はHPV感染という子宮頸がんの「リスク」を検出する検診と言える.
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▶HPV検査単独法では,HPV感染者のがん検診プログラムの中での管理が重要である.
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▶HPV検査単独法では,検診陽性者の中のHPV陽性/細胞診陰性者の管理が重要である.
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▶HPV検査単独法では,リスクの層別化によって検診プログラムが複雑化し,質の高いスクリーニングプログラムを維持することが難しくなる可能性がある.
Keyword:
▶HPV検査単独法はHPV感染という子宮頸がんの「リスク」を検出する検診と言える.
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▶HPV検査単独法では,HPV感染者のがん検診プログラムの中での管理が重要である.
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▶HPV検査単独法では,検診陽性者の中のHPV陽性/細胞診陰性者の管理が重要である.
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▶HPV検査単独法では,リスクの層別化によって検診プログラムが複雑化し,質の高いスクリーニングプログラムを維持することが難しくなる可能性がある.
pp.1406-1410
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_020
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はじめに
わが国の市町村における子宮頸がん検診は,健康増進法に定められた健康増進事業として地方自治体を実施主体とした対策型検診として行われており,その検査手法は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」1)(以下,指針)に基づいて子宮頸部の細胞診が施行されてきたが,今回,令和6(2024)年2月の指針の改正によりHPV検査単独法が新たに掲載された.これにより,要件を満たした自治体では従来の2年に1回の細胞診単独法,あるいは30~60歳の女性を対象にした5年に1回のHPV検査単独法のいずれかを選択することが可能となった.これまでの発がんに至る細胞形態の変化をとらえる細胞診とは異なり,このHPV検査単独法はヒトパピローマウイルスhuman papillomavirus(HPV)の感染という子宮頸がんの「リスク」を検出する検診と言える.つまり,HPV感染と前がん病変やがんへの形態変化はイコールではないため,HPV感染者のがん検診プログラムの中での的確な管理がことさら重要になってくる.

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