特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー① 一般集団を対象としたがん検診の最近の話題
細胞診を用いた子宮頸がん検診の課題
齊藤 英子
1
,
青木 大輔
2,3
1国際医療福祉大学三田病院予防医学センター
2国際医療福祉大学大学院
3赤坂山王メディカルセンター
キーワード:
▶細胞診による子宮頸がん検診は,有効性が確認された検査方法である.
,
▶日本でも長年にわたり細胞診による検診が実施されてきたが,統計的に死亡率の減少が明らかではなく,罹患率の減少も評価できていない.
,
▶その背景には,細胞診単独法による検診アルゴリズムが複雑かつ未完成であること,さらに実地で遵守されていないという課題がある.
,
▶わが国の細胞診による子宮頸がん検診では,対象者が誰であるか,対象から除外すべき者が誰かの整理がなされていない.
,
▶今後は,シンプルで実行可能なアルゴリズムを確立し,全国で統一的に運用するとともに,精度管理の状況を継続的にモニタリングしていく必要がある.
Keyword:
▶細胞診による子宮頸がん検診は,有効性が確認された検査方法である.
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▶日本でも長年にわたり細胞診による検診が実施されてきたが,統計的に死亡率の減少が明らかではなく,罹患率の減少も評価できていない.
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▶その背景には,細胞診単独法による検診アルゴリズムが複雑かつ未完成であること,さらに実地で遵守されていないという課題がある.
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▶わが国の細胞診による子宮頸がん検診では,対象者が誰であるか,対象から除外すべき者が誰かの整理がなされていない.
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▶今後は,シンプルで実行可能なアルゴリズムを確立し,全国で統一的に運用するとともに,精度管理の状況を継続的にモニタリングしていく必要がある.
pp.1383-1389
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_016
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はじめに
本稿では直視下での子宮頸部擦過細胞診による子宮頸がん検診を,細胞診単独法と表記する.細胞診による子宮頸がん検診は,1940年代に米国で導入されたのが始まりとされ,わが国では1983年に老人保健法の施行とともに対策型検診として制度化された.本法の特徴は,スクリーニング陽性者に対する精密検査で子宮頸部の浸潤がんに加え,CIN(cervical Intraepithelial neoplasia)と呼ばれる前駆病変を検出することにある.CINの一部は治療の対象であり,この一連の検診プログラムは死亡率減少効果ならびに罹患率減少効果が科学的根拠に基づいて示され,有効な検診と評価されている.実際,図1に示すように,フィンランドでは,5年に1回の細胞診単独法による検診を導入し,子宮頸がんの罹患率および死亡率の減少を達成している.一方,日本では細胞診単独法導入後の罹患,死亡の減少は統計データから見て取ることができない1,2).わが国では細胞診による子宮頸がん検診の実施が当面続くと考えられるので,その課題を洗い出し,あり方を再考する.

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