特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー① 一般集団を対象としたがん検診の最近の話題
超音波検査による乳がん検診
大貫 幸二
1
1宮城県立がんセンター乳腺外科
キーワード:
▶高濃度乳房が多い40歳台の乳がん検診おいて超音波検査の上乗せが検討されている.
,
▶超音波検査の科学的根拠がなかったので,日本で大規模なRCTが行われた.
,
▶RCTの最終的な結果はまだ報告されておらず,超音波検査の利益は不明である.
,
▶特異度が低下する不利益に対しては総合判定方式が推奨されている.
,
▶乳房超音波検査の精度管理体制が整えられているが認定者はそれほど多くない.
,
▶超音波検査を任意型検診で行う際には,その利益と不利益を受診者に説明する必要がある.
Keyword:
▶高濃度乳房が多い40歳台の乳がん検診おいて超音波検査の上乗せが検討されている.
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▶超音波検査の科学的根拠がなかったので,日本で大規模なRCTが行われた.
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▶RCTの最終的な結果はまだ報告されておらず,超音波検査の利益は不明である.
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▶特異度が低下する不利益に対しては総合判定方式が推奨されている.
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▶乳房超音波検査の精度管理体制が整えられているが認定者はそれほど多くない.
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▶超音波検査を任意型検診で行う際には,その利益と不利益を受診者に説明する必要がある.
pp.1378-1382
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_015
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はじめに
現在,乳がん検診における標準的な検査方法はマンモグラフィであるが,その科学的根拠は,主に1960年代から1990年代にかけて欧米で実施された,39~74歳の女性を対象としたアナログマンモグラフィによる無作為化比較試験から得られたものである.日本では,1987年に問診・視触診による対策型乳がん検診が開始され,2000年には50歳以上にマンモグラフィが導入され,さらに2004年にはその対象が40歳台にも拡大された.しかし,日本において,マンモグラフィ検診による死亡率減少効果については後ろ向き研究ですら行われていない.マンモグラフィ導入の根拠としては,視触診単独検診の症例対象研究で死亡率減少効果が証明されなかったこと,日本において試験的に行われたマンモグラフィ検診の検査精度が,欧米と同程度以上だったこと,費用効果分析で逐年の視触診単独検診よりも隔年のマンモグラフィ併用検診のほうが効率的であったことなどであった.

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