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Volume 42, Issue 9 （September 2025）

Medical Practice 42巻9号（2025年9月発行）

特集がん検診とリスク層別化検診の課題

セミナー①　一般集団を対象としたがん検診の最近の話題

杉並区肺がん検診について ─地区医師会としてのがん検診への取り組み─ 大杉文雄 ¹ ¹杉並区医師会地域医療部肺がん検診特任委員キーワード： ▶肺野の欠損のない，コントラスト，鮮鋭度などが適正な読影に適した胸部X線写真を撮影する． , ▶肺がん検診実施医療機関でのX線写真の読影では一次判定と，外部の医師（放射線科専門医，呼吸器内科医，呼吸器外科医）2名以上による二次判定を行う． , ▶肺がん検診実施医療機関の読影医師は年1回の精度管理研修会に出席することを義務づけている． , ▶専門医を招き，疫学，撮影技術，典型例，杉並区での肺がん症例提示を用いた研修会を定期的に開催している． , ▶適正な条件で撮影し読影に適する胸部X線画像を提出する． , ▶行政と杉並区医師会とは検診事業に一体となって取り組む． Keyword: ▶肺野の欠損のない，コントラスト，鮮鋭度などが適正な読影に適した胸部X線写真を撮影する． , ▶肺がん検診実施医療機関でのX線写真の読影では一次判定と，外部の医師（放射線科専門医，呼吸器内科医，呼吸器外科医）2名以上による二次判定を行う． , ▶肺がん検診実施医療機関の読影医師は年1回の精度管理研修会に出席することを義務づけている． , ▶専門医を招き，疫学，撮影技術，典型例，杉並区での肺がん症例提示を用いた研修会を定期的に開催している． , ▶適正な条件で撮影し読影に適する胸部X線画像を提出する． , ▶行政と杉並区医師会とは検診事業に一体となって取り組む． pp.1390-1394

発行日 2025年9月1日 Published Date 2025/9/1

DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_017

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文献概要
1ページ目

はじめに

　平成30年1月に杉並区内の医療機関で実施した区肺がん検診において，肺がんの疑いを見落とされ，当該区民の方は精密検査の機会を逸したことで治療ができず，残念ながら肺がんにて亡くなられた．当時の杉並区長は公正かつ中立的な立場で専門的な知見に基づき検証し，原因究明と再発防止のため「肺がん検診外部検証等委員会」を設置した．平成30年11月に当委員会から最終答申を受け，杉並区長は自らを本部長とした「がん検診緊急対策本部」を立ち上げ，杉並区と杉並区医師会が協力し，区民のためとなる肺がん検診事業の徹底した改善を行ってきた（表1）．