特集 上部消化管疾患
セミナー 最新の実地診療のポイントの整理と活用
咽頭・喉頭癌の内視鏡診断と治療 ─高リスク群の囲い込み,内視鏡観察法,表在癌に対する低侵襲治療─
石山 晃世志
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1がん研有明病院 頭頸部がん低侵襲治療センター 上部消化管内科
キーワード:
咽頭・喉頭癌の内視鏡診断と治療 ─高リスク群の囲い込み,内視鏡観察法,表在癌に対する低侵襲治療─
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▶咽頭や喉頭,口腔などは,飲み込みや発声,呼吸や味覚など生活に必須な機能が集中した部位である.
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▶咽頭・喉頭癌発見のためには,咽・喉頭領域の解剖学的特徴を理解する必要がある.
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▶食道癌と咽頭・喉頭癌には,飲酒や喫煙という共通のリスクファクターがあり,癌の発生母地も共通の扁平上皮であるため重複癌の頻度が高く,“field cancerization”の概念で提唱されている.
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▶咽頭反射の誘発につながらないように極細径内視鏡での検査やペチジン塩酸塩投与による意識下鎮静での観察を考慮する.
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▶咽頭・喉頭癌の検出にNBI,BLIなどに代表されるIEEが有用であり,搭載された内視鏡システムを用いた観察が推奨される.
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▶腫瘍性病変の存在診断においては,食道と同様にIPCLに着目して観察することがポイントである.
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▶上皮下層以深への浸潤をきたす症例ではリンパ節転移をきたす症例があり,そのリスク因子として腫瘍の「厚み1,000μm以上」があげられている.
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▶頭頸部癌に対する標準治療は,従来外科手術および放射線治療であったが,嚥下および発声機能の温存を重視した内視鏡切除を含む経口的切除が低侵襲な外科的療法として適応拡大がなされている.
Keyword:
咽頭・喉頭癌の内視鏡診断と治療 ─高リスク群の囲い込み,内視鏡観察法,表在癌に対する低侵襲治療─
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▶咽頭や喉頭,口腔などは,飲み込みや発声,呼吸や味覚など生活に必須な機能が集中した部位である.
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▶咽頭・喉頭癌発見のためには,咽・喉頭領域の解剖学的特徴を理解する必要がある.
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▶食道癌と咽頭・喉頭癌には,飲酒や喫煙という共通のリスクファクターがあり,癌の発生母地も共通の扁平上皮であるため重複癌の頻度が高く,“field cancerization”の概念で提唱されている.
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▶咽頭反射の誘発につながらないように極細径内視鏡での検査やペチジン塩酸塩投与による意識下鎮静での観察を考慮する.
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▶咽頭・喉頭癌の検出にNBI,BLIなどに代表されるIEEが有用であり,搭載された内視鏡システムを用いた観察が推奨される.
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▶腫瘍性病変の存在診断においては,食道と同様にIPCLに着目して観察することがポイントである.
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▶上皮下層以深への浸潤をきたす症例ではリンパ節転移をきたす症例があり,そのリスク因子として腫瘍の「厚み1,000μm以上」があげられている.
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▶頭頸部癌に対する標準治療は,従来外科手術および放射線治療であったが,嚥下および発声機能の温存を重視した内視鏡切除を含む経口的切除が低侵襲な外科的療法として適応拡大がなされている.
pp.1046-1051
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_015
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はじめに
咽頭・喉頭癌早期病変は自覚症状がない場合がほとんどである.一方で,早期発見により内視鏡的粘膜下層剝離術endoscopic submucosal dissection(ESD)/内視鏡的粘膜切除術endoscopic mucosal resection(EMR)を含む喉頭機能を温存する低侵襲治療である経口的手術transoral surgery(TOS)が適応可能となる.さらに経口的ロボット支援手術transoral robotic surgery(TORS)が2022年4月に頭頸部領域にも保険収載され,早期発見の重要性は益々高まっている.咽頭・喉頭癌高リスク群の囲い込み,内視鏡観察法,表在癌に対する低侵襲治療について理解することが求められる.

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