特集 上部消化管疾患
セミナー 最新の実地診療のポイントの整理と活用
逆流性食道炎,非びらん性胃食道逆流症(NERD)
島村 勇人
1
,
井上 晴洋
2
1Department of Gastroenterology and Hepatology, Austin Health, University of Melbourne
2昭和医科大学江東豊洲病院 消化器センター
キーワード:
逆流性食道炎,非びらん性胃食道逆流症(NERD)
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▶GERDは,胃内容物の逆流により生じる食道粘膜傷害や症状を特徴とし,「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」に分類される.
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▶GERDの診断には,主に問診票や上部消化管内視鏡が用いられ,追加の精査としてMII-pHが実施される.
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▶GERDの治療には,PPIやP-CABが主に使用される.特にP-CABは,重症逆流性食道炎に対して迅速な酸分泌抑制効果を示し,高い治療効果を有する.
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▶GERDの再発予防には維持療法が重要であり,軽症の場合はPPIが推奨され,重症例ではP-CABによる維持療法が考慮される.
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▶薬物療法抵抗性のGERDには,外科的手術が選択肢となるが,近年では内視鏡的逆流防止術が低侵襲治療として注目されている.
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▶内視鏡的逆流防止術は,手技の進化や新しい技術の導入に伴い,治療の有効性と安全性が向上しており,創部閉鎖を伴うARMPなどが考案され,今後の治療戦略に大きな影響を及ぼす可能性がある.
Keyword:
逆流性食道炎,非びらん性胃食道逆流症(NERD)
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▶GERDは,胃内容物の逆流により生じる食道粘膜傷害や症状を特徴とし,「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」に分類される.
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▶GERDの診断には,主に問診票や上部消化管内視鏡が用いられ,追加の精査としてMII-pHが実施される.
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▶GERDの治療には,PPIやP-CABが主に使用される.特にP-CABは,重症逆流性食道炎に対して迅速な酸分泌抑制効果を示し,高い治療効果を有する.
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▶GERDの再発予防には維持療法が重要であり,軽症の場合はPPIが推奨され,重症例ではP-CABによる維持療法が考慮される.
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▶薬物療法抵抗性のGERDには,外科的手術が選択肢となるが,近年では内視鏡的逆流防止術が低侵襲治療として注目されている.
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▶内視鏡的逆流防止術は,手技の進化や新しい技術の導入に伴い,治療の有効性と安全性が向上しており,創部閉鎖を伴うARMPなどが考案され,今後の治療戦略に大きな影響を及ぼす可能性がある.
pp.1016-1021
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_010
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はじめに
胃食道逆流症gastroesophageal reflux disease(GERD)は,日常診療で頻繁に遭遇する疾患であり,症例によっては診断が困難なこともある.GERDの診断には,GERD問診票や上部消化管内視鏡検査による食道粘膜傷害の評価が有用であるが,多くの症例がびらんを伴わない非びらん性胃食道逆流症non-erosive reflux disease(NERD)に分類され,これが診療上の課題となっている.NERD患者においては,24時間食道インピーダンス・pHモニタリング検査Multichannel Intraluminal Impedance-pH monitoring(MII-pH)を含めた病態評価が重要である.治療に関しては,ボノプラザンの登場により薬物療法の選択肢が広がり,治療戦略が進化している.難治性GERDに対しては外科的手術が考慮されるが,近年では内視鏡的逆流防止術が低侵襲治療の選択肢として注目されている.本稿では,GERDの定義,診断,薬物療法,および内視鏡治療について詳述する.

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