誌上ディベート
膵神経内分泌腫瘍:肝転移切除の適応(どこまで切除するか?) ②「積極的に切除する」という立場から
工藤 篤
1
,
田邉 稔
2
1東京医科歯科大学肝胆膵外科准教授
2東京医科歯科大学肝胆膵外科教授
pp.17-21
発行日 2021年12月30日
Published Date 2021/12/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0118.02.01_0017-0021
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神経内分泌腫瘍(NET)の肝転移(NELM)の集学的治療において,2011年以降にさまざまな薬物が保険適用となったが,手術が最も中心的な位置を占めていることは変わりない。膵神経内分泌腫瘍の発症年齢は50歳代で,初診時に35.5%が同時性転移を伴っている。しかも,同時性転移の5年生存率は39.4%と極めて不良である。原発切除後の異時性肝転移は30〜85%に発生する。NETの予後因子は原発巣,同時性肝転移,肉眼的遺残腫瘍,分化度などである1)。また直腸と膵の生存期間は約2年であるのに対し,5年生存率は膵が40%,直腸は98%程度である2)。原発がどこであれ,転移性NETは非転移性NETと本質的に異なる可能性がある。膵NET原発巣でPAX6発現が抑制されている場合は,高率に異時性肝転移をきたし,生命予後が不良となる3)。いずれにせよ,神経内分泌腫瘍において肝転移の治療は最重要課題である。
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