診療controversy medical decision makingのために 初発肝細胞癌の治療
肝切除の立場から
山崎 慎太郎
1
,
高山 忠利
1日本大学 医学部消化器外科
キーワード:
肝細胞癌
,
肝切除
,
血管造影
,
腫瘍再発
,
腫瘍マーカー
,
X線CT
,
EBM
,
アルゴリズム
,
診療ガイドライン
,
ランダム化比較試験
,
ラジオ波焼灼術
Keyword:
Algorithms
,
Angiography
,
Hepatectomy
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Biomarkers, Tumor
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Practice Guidelines as Topic
,
Evidence-Based Medicine
pp.337-341
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011312152
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肝細胞癌の再発の頻度は高く、経門脈での肝内転移と障害肝を背景とした異時性の多中心性再発が知られる。一方、肝癌診療ガイドラインのサーベイランスアルゴリズムでは、3~6ヵ月ごとの画像および腫瘍マーカーの測定を推奨しており、小型で単発の肝細胞癌がみつかる頻度が高くなってきている。早期肝癌では他と比較して、再発と予後がともに良好であることから初回の治療選択の重要性が示唆される。肝細胞癌の脈管侵襲と肝内転移を確実に治療するために、担癌門脈領域を含めた肝実質の治療が根治性の向上につながる。前治療の修飾のない唯一のチャンスである初回治療こそ、手術療法の選択がふさわしいと考える。ラジオ波焼灼療法(RFA)は簡便性、再焼灼の容易さ、局所制御能および低侵襲性がクローズアップされ適応の拡大が行われている。しかし、再発の規定因子の一つとしてあげられるのは腫瘍の局在である。それゆえ初回治療こそRFAの不得意とする脈管近傍、尾状葉、他臓器に近接する部位では外科治療が推奨される。初回治療こそ、治療法のもつ特性が最大に発揮できる、腫瘍に対する治療の選択が行われるべきである。
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