Reduced Port Surgery—制限克服のための達人からの提言・21
RPSによる肝切除術
小倉 俊郎
1
,
小川 康介
1
,
小野 宏晃
1
,
伴 大輔
1
,
工藤 篤
1
,
田邉 稔
1
Toshiro OGURA
1
1東京医科歯科大学肝胆膵外科
pp.1107-1113
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212602
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
本邦において腹腔鏡下肝切除は2010年に肝部分切除,肝外側区域切除が保険収載されて以降順調に普及し,2016年には系統的肝切除までその範囲が拡大された.日本肝臓内視鏡外科研究会による腹腔鏡下肝切除の前向きレジストリーでは,毎月300件前後の症例登録がなされ,全術式の90日死亡率は0.22%と開腹に劣らない安全性が示されている1).一方,reduced port surgery(RPS)は胆囊摘出術を中心として一般に認知され,その優れた整容性から一定の普及を得ている.肝切除の適応疾患の多くは悪性腫瘍であり,根治性と安全性が担保されることを最低条件として,比較的単純な肝離断で完遂できる症例であればRPSの適応となりうる.
肝切除術は実質離断の際の展開法や出血コントロールなど,困難を伴うことが多い術式である.しかし,腹腔鏡下肝切除術の普及に伴い,以前と比較し腹腔鏡下肝切除術の安全性と定型化は格段に進み,確固とした術式として確立された感がある.そのノウハウを活用してより腹壁破壊の少ないRPSも注目されており,今後のさらなる発展を期待しつつ当院での手技と工夫を概説する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2022年9月末まで)。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.